松本幸四郎、長男・市川染五郎と共に挑んだ"新たな鬼平"に自信「ド正統の時代劇で驚かせたい」

――役作りにおいて、心がけたことなどはありますか?

幸四郎「特に気を付けたことといえば、煙管(きせる)の扱いですね。平蔵の生活感を見せる大事なアイテムであり、随分こだわりました。吸う場面と吸わない場面の使い分けとか。煙管とたばこ入れは叔父が劇中で使っていたものです。当時のスタッフが今回も大勢参加してくれているので、それも心強いこと。『受け継ぐ』ということを実感できる幸せな環境でした」

染五郎「銕三郎はやんちゃな若者で、ギラギラとした危なっかしさが魅力だと思います。意地でも刀を抜かずに木の棒で戦う場面があったりして、僕自身も好きな人物です。『―本所・桜屋敷』は銕三郎の立ち回りのシーンで始まるので緊張しました。ただ、撮影所のオープンセットにいると、本当にあの時代の空気を感じられるような気がして、貴重な経験ができたと思います。舞台とも違って、やはりあの場所でないと味わえない感覚です」

――本作は新シリーズのスタートとなります。今後は新しい「鬼平」をどんなふうに育てていきたいと思いますか?

幸四郎「まずはこの『―本所・桜屋敷』がシリーズの第一歩ですから、本作を受け入れてもらうということに集中して全力で挑みました。自分なりにというより、『鬼平犯科帳』という傑作に正面からぶつかり、ド正統の時代劇にぶつかって見ている人を驚かせることを目標にしています。今回『火付盗賊改、長谷川平蔵』と、名乗り上げる場面は、叔父のやり方と変えています。そんな違いも楽しんでもらいたいです」

染五郎「時代劇に幾つか出演させていただいてはいるものの、これほどストーリー全体に絡む役は初めてなので、重圧もありましたが素晴らしい経験ができました。シリーズが長く続いてほしいと思いますし、銕三郎としてまた戻ってきたいなと感じています」

――染五郎さんは将来、自分自身が「鬼平」を演じたいという思いはありますか?

染五郎「今のところは、そうは思いません。銕三郎以外の役は考えられないかな...。それほど、銕三郎という役に強い愛着を持ってしまったので、『鬼平』シリーズでは、銕三郎以外はちょっと演じたくないですね(笑)」

まつもと・こうしろう●1973年1月8日生まれ、東京都出身。2018年に十代目松本幸四郎を襲名。歌舞伎をはじめとした舞台作品はもちろん、ドラマ「マイファミリー」(2022年/TBS系)など数多くの映像作品にも出演。

いちかわ・そめごろう●2005年3月27日、七代目市川染五郎(現・十代目松本幸四郎)の長男として東京都に生まれる。2018年に八代目市川染五郎を襲名。2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に出演。

撮影=山田大輔 取材・文=渡辺敏樹 
スタイリング=川田真梨子(松本幸四郎)、中西ナオ(市川染五郎)
ヘアメーク=林摩規子(松本幸四郎)、AKANE(市川染五郎)
衣装協力=DbyD*Syoukei(松本幸四郎)、BARENA(市川染五郎)

この記事の全ての画像を見る

放送情報【スカパー!】

テレビスペシャル「鬼平犯科帳 本所・桜屋敷」
放送日時:2024年1月8(月)13:00~/19:00~ ※同日2回放送
放送チャンネル:時代劇専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

記事の画像

記事に関するワード