本作で天海が演じる絵里子は、抜群のスタイルで上質なオフィスファッションを着こなし、艶やかなロングヘアに濃いめのリップが印象的な美人のキャリア刑事。捜査現場で、捜査一課の刑事・小野田(塩見三省)から「女の来るところじゃない。引っ込んでな、ド素人が」と吐き捨てられても、クールに聞き流すことができる強いメンタルの持ち主でもある。しかし、仕事を離れれば、彼女もごく普通の女性。男女の垣根を超えた友情を育んでいる野立の自宅ベッドで二日酔いに悩んだり、科学捜査研究所の鑑識官兼監察医・奈良橋玲子(吉瀬美智子)とは同世代の女性だからこそ話せる恋愛トークをしたりと、親近感を覚える素顔をのぞかせる。
そんな絵里子を、天海は豊かな表情で熱演。朝、目覚めて野立の顔を見て驚く、という初登場シーンで見せるオーバーリアクションでは、絵里子がアメリカ帰りであることを視聴者に印象づける。その後の竹野内とのコミカルな掛け合いで天海がさまざまな表情を披露することで、肩書きだけ聞くと「取っつきにくそうな美人キャリア刑事」と思われそうな存在の絵里子に、親しみやすさや可愛らしさを与えていく。なかでも、刑事という職業を伝えずに交際している恋人・池上浩(丸山智己)の前で見せる柔らかい笑顔は、普段とのギャップも手伝い、より魅力的に映るはずだ。
部下の前や捜査現場では厳しい顔を見せている絵里子。そんな彼女のリラックスした表情を引き出すという大きな役割を担っているのが、竹野内が演じる同期の野立だ。おしゃれ髭に上質なスーツを着こなす"イケオジ"で、とにかく女性を見たら口説かずにはいられない。そんなお調子者の野立を、竹野内は彼の魅力の1つでもある低音の美声を響かせて好演。本作の続編となる第2シーズンの冒頭を、主人公の絵里子ではなく野立が飾るほどの人気キャラクターになったのも、竹野内の軽やかな演技が多くの視聴者を魅了したからだと言えるだろう。
曲者揃いの部下たちも、絵里子の仕事への情熱や頭脳明晰さに触れることで意識が変わり、それぞれの課題を克服して一人前の刑事として成長していく。人間ドラマとしても楽しめる、コミカルでスタイリッシュな刑事ドラマに仕上がっている。
本作は2月4日(日)から日本映画専門チャンネルで放送される。天海と竹野内の軽妙な掛け合いにも注目しながら楽しんでほしい。
文=中村実香
放送情報【スカパー!】
BOSS #1~#5
放送日時:2024年2月4日(日)11:40~
※#6~#11は、2月11日(日)15:00~放送
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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