上川隆也の名コンビの演技につい感情移入してしまう!ドラマ「花咲舞が黙ってない」

(C)池井戸潤「不祥事」「銀行総務特命」/NTV

物語は、いきなり花咲と相馬の言い合いから始まる。アップで両者の真剣な眼差し、強気の様相が映し出され、何を言い合っているのかと思えば忘年会の会場の話。些細なことでも熱くなり、だが結局相馬が出し抜かれる――そんな両者のキャラクターと関係性がすぐに理解できるユニークなオープニングだ。

杏が演じる花咲は自分に素直な雰囲気で、最初に出向した支店で邪険にされた時にはずっと「なんでこんな扱いを受けるの?」とでも言いたげな表情。テラーを見下す支店長に対しては、唇を尖らせて、あからさまに不満げな表情を見せる。

各話のラストシーンは圧巻で、例えば第1話。窓口係が顧客に100万円多く払い出した事件の真相が明らかになった時、花咲は瞳を少し潤ませ、よく通る声を響かせて、問題を起こした相手に詰め寄っていく。迫力があるのはもちろん、花咲の想いが透き通った空気と共に心に刺さるのは、花咲を演じる杏の空気がしっかり役柄と融合しているからだろう。

一方、上川が演じる相馬は、社会に揉まれたベテラン行員といった雰囲気だ。最初に花咲と出向する際、落ち着いた声と真剣な眼差しで「臨店」の心得を語ったり、言葉を飲み込む方法をアドバイスするなど、上司らしさがよく出ている。第2話では「きっといい男が現れるさ」と花咲をからかうおちゃめなところもあるし、青山支店が詐欺事件に手を貸していた可能性が出てきた時に見せる息を飲むような真剣な表情など、決める時にしっかり決めるかっこよさも持っている。

杏が演じる花咲も、上川が演じる相馬も、表情豊かで心情がよく伝わってくるし、だからこそ一緒にハラハラしたり、理不尽なことに怒ったり、つい感情移入してしまう魅力に溢れている。そんな2人が息を合わせてトラブルに臨み、立場が弱く声を上げられない人々を救っていくのだから、痛快なドラマにならないはずがない。

「花咲舞が黙ってない(第2シリーズ)」より
「花咲舞が黙ってない(第2シリーズ)」より

(C)池井戸潤「不祥事」/NTV

第1シリーズが好評だったこともあり、2015年には第2シリーズも制作された。そして、2024年4月には、花咲舞役に今田美桜、相馬健役に山本耕史を迎え新たなシリーズがスタートする。上川隆也も「酒肴処・花さき」を経営する花咲舞の叔父・花咲健役で出演。第1、第2シリーズを楽しんだ人には嬉しいキャスティングだ。

新シリーズを見るなら、杏が演じた平成の花咲の活躍もぜひ見てほしい。令和に生まれ変わった花咲の活躍がより楽しめることだろう。

文=堀慎二郎

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放送情報【スカパー!】

花咲舞が黙ってない(第1シリーズ)
放送日時:2024年4月6日(土)11:00~ 一挙放送

花咲舞が黙ってない(第2シリーズ)
放送日時:2024年4月6日(土)20:30~ 一挙放送

チャンネル:日テレプラス
※放送日時は変更になる場合がございます

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