小島が演じるのは、外見も仕事の能力もハイスペックでありながら、女性関係においては「クズ男」と評される主人公・高城直哉。女性にモテモテで、相手をとっかえひっかえという状況だ。もう1人の主人公は、浅川梨奈が演じるTL(ティーンズラブ)漫画家・福永朱音。恋愛経験値がほぼないため、TLのアイディア出しに苦しんでいて、仕事柄なのか性格なのか、すぐにエッチな妄想を爆発させる癖がある。
物語は、朱音が新規連載を目指しTL漫画にチャレンジするところから始まる。アイディアがまとまらず朱音が喫茶店で苦悩していた時、同じ店にいた直哉の席に女性が現れ、他の女性と寝ていた写真を見せた上、コップの水を頭からかけるという修羅場に発展する。女性はそのまま帰ってしまうが、朱音にはヒラメキがあり、漫画の登場キャラを「クズ男」にすることに。そしてこの出会いがきっかけで、恋愛ベタな朱音が直哉をTL漫画の"参考資料"にするべく、同棲を始める。
小島の演技に注目してみると、女性に水をかけられている時はもちろん、少し痛ましげな表情で髪をかきあげる仕草もカッコいい。追い込まれた自分の現状を説明する朱音のことを、心を寄せるような眼差し見つめたり、一緒に暮らすことが決まった後に「よろしくね」と語りかける時の爽やかさだったりと、文句のつけようがないほど決まっている。
イケメンぶりを発揮するだけでなく、小島はシーンごとの雰囲気も上手く作り出している。例えば第2話では、アイスを食べて至福の表情になる朱音を見て、自分も幸せそうな表情になったり、第3話では「やっぱりこんな関係、よくないかなぁって」と言った朱音に、圧のある真顔で壁ドンしたり、第4話で朱音が本音を漏らした時に、嬉しさと照れが入り混じったような表情を見せたりもする。
そしてそんなシーンを見るたびに、「直哉は本当にクズ男なのだろうか?」とも思えてくるのだ。実は第1話のラストに、直哉が「俺はもう誰も好きにならない」と悔しそうにつぶやく回想シーンが挿入される。そういったシーンと小島が演じる直哉を見ていると、過去に何があったのか、直哉は根っからの「クズ男」なのか、そうでないならなぜ「クズ男」になったのか、その胸の奥にあるものがつい気になってしまうのだ。
濃厚なシーンに気が行きがちだが、人物に深みを与える小島の演技も本作の注目ポイントと言えるだろう。グループデビューを果たし、これからさまざまな舞台で活躍するであろう小島の連ドラ初主演作を、時に笑い、時にドキドキしながら、ぜひ堪能してほしい。
文=堀慎二郎
放送情報【スカパー!】
帰ってきたらいっぱいして。
放送日時:2024年4月21日(日) 23:25~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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