田中圭が売れ続けている理由が判明!ドラマ「ホームレス中学生2」に見る演技の懐の深さ

夏休み前日の1学期最後の日、慎一(田中)が帰宅すると、家財道具が外に出されて自宅に入れなくなっており、妹・幸恵(夏帆)と弟・裕(黒木辰哉)が途方に暮れていた。家財道具はどこかに運ばれていき、3人が自宅の外でうなだれていると、父・道則(内藤剛志)が戻ってきて"家族の解散"を宣言した後、姿をくらましてしまう。慎一は妹と弟を養うため、突如、家族の大黒柱の役目を果たさなければならなくなる。

「ホームレス中学生」では、中学生の裕のちょっと能天気な様子や楽観的な目線で物語が進んでいくが、同作は少し大人である大学生の慎一の目線で物語が紡がれており、大人と子供の狭間の時期にある青年が「社会の中では一人前の大人として扱ってもらえないながらも、子供のままでもいられない」という過酷な状況でもがく姿を描写している。

そんな過酷な状況に陥りながらも一生懸命に生きようとする慎一を田中は熱演。アルバイトで収入を得ながら、なんとか生活をしていこうと奮闘し、交際中の彼女を心配させないようにと、全てを一人で抱え込んでもがいていく。そして、周囲の人たちの助けを受けつつ、常に申し訳なさと感謝の気持ちを忘れず生きる責任感の強い好青年として表現している。

癖や特徴を取っ掛かりにキャラクターを作るのに比べ、ただただ真っ直ぐな特徴のないキャラクターを演じるというのは、実は難易度が高い。表面的に特徴を描き出せないため、物語を通して終始人間性を見せていかなくてはならないからだ。しかし、田中は慎一という役に正面から取り組み、しっかりとした"役の芯"を作った上で、そこから出てくる言動でキャラクターを生成。いわゆる"物語の中で役として生きる"ことができているのだ。

"演じる"のではなく"その役として生きる"からこそ、映像にも説得力が出るし、視聴者を作品世界に引き込むことができる。この"演技の神髄"を会得していることこそ、彼の"演技の地力"であり、"演技の懐の深さ"につながっている。癖や特徴のないキャラクターを演じる時こそ誤魔化しが効かないため実力が露呈しやすい中で、しっかりと慎一として生きる田中の"演技の地力"に注目すると、彼の"演技の懐の深さ"の深淵に触れることができるはず。

そして、その底なしの深さに気付いた時に、彼の演技がより一層魅力的に輝いて見えるだろう。ぜひ、この作品で田中の"演技の懐の深さ"に触れた上で、他の出演作も改めて見直してみてほしい。

文=原田健

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放送情報【スカパー!】

ホームレス中学生2
放送日時:7月11日(木)19:30~ほか
ホームレス中学生
放送日時:7月10日(水)19:30~ほか

放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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