小泉孝太郎がコロナ禍に立ち向かう熱血漢の医師を演じた「病院の治しかた～スペシャル～」

小泉が前作に引き続き演じるのは、有原総合病院の院長・有原修平。輝かしいキャリアを捨てて実家の病院を建て直した修平だが、今作ではコロナ禍と2025年問題に立ち向かう。全国的な医師不足で有原総合病院にも研修医はなかなかやってこない。医師との個人面談を経て、修平たちは研鑽を積みたい医師たちの不満解消や退院できない高齢の患者が増え続けるという構造上の問題にも目を向ける。「24時間365日すべての患者を受け入れる」という理念は曲げず、時代に合わせて慢性的な赤字体質に陥っていた病院のあり方を変える改革に取り組むことに。やると決めたら確固たる意志で突き進む修平は、時に「暴走特急」と呼ばれる熱血漢。だが、患者や地域のために地方医療改革に奔走する姿が周りを少しずつ動かしていく。揺るぎない瞳に力強い言葉、真剣な表情には、モデルとなった実在の医師・相澤孝夫の苦労や葛藤を役を通して伝えたいという小泉の強い覚悟が感じられる。魂が込められたセリフは真っ直ぐに胸に響いた。

小泉が熱演した修平とタッグを組んで病院改革を進める事務長・倉嶋亮介も、引き続き高嶋政伸が好演。強い信頼で結ばれた2人のバディ感も変わらず、本作の見所の一つだ。高嶋の他にも、小西真奈美、稲葉友、浅田美代子、角野卓造ら連続ドラマに出演したレギュラー俳優たちが集結。さらに今作のゲストキャストとして、加藤シゲアキと益岡徹が医師役で参戦した。新たなキャストとの化学反応、レギュラー陣の息の合ったチーム感が物語を盛り上げる。

コロナ禍に加え、政府が推進する病院の再編統合、2025年問題と次々に問題が立ちはだかる。一般的な医療ドラマの大きな見所である手術室でのオペシーンこそないが、病気を治療することだけが病院の仕事ではない。今目の前にある問題にリアルに真正面から向き合う本作。真摯な演技で作品に臨んだ小泉を通して、今も各地で日々奮闘している医療従事者の姿が見えた。情熱に溢れた医師・有原修平を熱演した本作は、小泉の代表作の一つとなるだろう。

文＝中川菜都美

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