高橋一生の低音ボイスで没入感が倍増...「ブラック・ジャック」や「岸辺露伴」のクリエイターとのタッグで再現した川端康成原作「雪国」の世界観

高橋は島村という男を大人の落ち着きと色気をまとうキャラクターに仕上げ、繊細かつ豊かな表現力でドラマの世界へ没入させる。劇中のセリフはもちろん、島村はモノローグも多く、リアリティのある"間(ま)"や彼の大きな魅力である深みのある低音ボイスが本作をより重厚感のある雰囲気に仕立てる。

そして、分厚い雪が町全体を覆う儚く幻想的な映像美の中で、次第に熱情を帯びていくのが島村と駒子の恋模様だ。初めて会った日の回想シーンで、島村は駒子の印象を「不思議なくらい清潔であった」と回顧する。その可憐さを一枚一枚脱ぎ捨てていくように、次第に女の情念と妖艶さを見せていく奈緒の芝居に心揺さぶられる。

駒子と出会い、自身の中にあった諦観のような境地が徐々に変化する島村。その過程を生々しく演じる高橋の圧倒的な存在感が間違いなく本作の軸であり、見終わった後の視聴者に得も言われぬ余韻を残す。さらに、少ないシーン数とセリフでも強い印象を残す名優・高良健吾、健気な葉子を演じる森田望智の"影"もなかなかに味わい深いものがある。

原作の行間に隠された真実を、ミステリー要素も交えながら解きほぐし、どこか異世界のような情景美で描き出す「雪国 -SNOW COUNTRY-」。何より川端康成作品の世界観に独特の奥行きをもたらす、高橋一生の心地良いモノローグに耳を傾けたい。

文=川倉由起子

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放送情報【スカパー!】

雪国 -SNOW COUNTRY-
放送日時:2024年8月3日(土)9:30~
チャンネル:チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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