横浜流星の「感情のうねり」を表現する鬼気迫る演技が秀逸!映画「ヴィレッジ」

(C)2023「ヴィレッジ」製作委員会

幼い頃より集落・霞門村に住む優(横浜)は、美しい村において異彩を放つ巨大なごみの最終処分場で働いているが、母親が抱えた借金の支払いに追われて希望のない日々を送っていた。村長の息子・透(一ノ瀬ワタル)に虐げられながら日常的に暴力を振るわれ、半ば強制的に非合法な作業を手伝わされ、村の中でも「犯罪者の息子」として蔑まれていた優は、かつて父親が村で起こした事件の汚名を背負い、その罪を肩代わりするようにして生きてきたため、他の人生の選択肢がなかった。そんなある日、幼なじみの美咲(黒木華)が東京から戻ってきたことをきっかけに大きな変化が訪れる...。

横浜は、どこにも居場所を見つけられずに生きてきた青年が、自分と世界を繋ぐ唯一の希望を守るためにダークサイドに転じる姿をリアルに体現。そんな中で、無口で目立たないように生きながらも、時に不当過ぎる扱いとどうすることもできない無力感に苛まれて抑え込んだものが吹き出してしまう瞬間など、優の"感情のうねり"を迫真の演技で表現している。

常に下を向いている姿勢から、人の目を見ないようにしている視線の動きに至るまで、徹底した役作りと微に入り細を穿つ芝居で作り込んだ役柄だけでも圧倒されるのだが、それを礎に描き出す感情表現が圧巻。

人生に諦めたように生きながらも必死に抑えている激情、我慢できないことが重なって抑え切れなくなり枕に顔をうずめて咆哮する姿、何かと関わろうとしてくる美咲によって頑なだった心が解かれていくさま、美咲の優しさに抱かれ少年のように涙する瞬間、美咲の提案がきっかけで環境の変化が訪れて次第に晴れやかになっていく過程、日常を守るために明かせない秘密を抱えてしまった後の変わりようなど、言葉では表せないほどの"感情のうねり"を鬼気迫る芝居で披露している。

それは"観る者に感情移入を促して共感してもらう"というレベルを超えて、"役を通して強烈な圧力をもってメッセージを伝えてくる"ほど。この作品を通して、横浜は役者としてのステージを一つかけ上がったと言っても過言ではないだろう。もしかしたら、俳優が名優になる瞬間を収めた作品になっているかもしれない。

これからのエンタメ界の大きな輝きとなる俳優・横浜流星が表現する"感情のうねり"と共に、彼が役を通して強烈な圧力で伝えてくるメッセージを受け取ってみてほしい。

文=原田健

この記事の全ての画像を見る

放送情報【スカパー!】

ヴィレッジ(2023)
放送日時:2024年8月12日(月)22:00~
チャンネル:WOWOWシネマ

放送日時:2024年8月14日(水)17:45~
チャンネル:WOWOWプライム
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

記事の画像

記事に関するワード

関連人物