平岡祐太が新・浅見光彦シリーズに果敢に挑んだドラマ「後鳥羽伝説殺人事件」

本作の原作小説はファンの間でも人気が高い作品で、計6回もドラマ化されている。2024年5月には東京の劇場で舞台上演もされた。ちなみに原作者の内田は作家に専念する前にCM制作会社を経営していたが、当時CMの仕事で広島を頻繁に訪れた際に、地元に伝わる後鳥羽伝説に触れて着想を得たという。内田の商業デビュー作でもあり、浅見光彦が初登場する作品としてもファンにはおなじみだ。

歴代の光彦役のほとんどが演じた代表作だけに、平岡の重圧は相当なものであったはず。特にTBS版では、シリーズ中最も長く、第14作から第31作まで光彦役を務めた沢村一樹の印象が強い。速水もこみちも自分なりの光彦像を作りあげて好感を持てたが、それでも、沢村版の評価は根強かったように思う。平岡演じる光彦は、育ちの良さを感じさせる端正なルックスから、過去に光彦を演じた俳優たちより、繊細で心の優しさを前面に表現しているという印象だ。本作においても、まだ2作目とは思えないほど光彦がすっかり板についている。亡き妹の死にまつわる事件だけに、事件の真相を追って懸命に犯人を追い詰める姿には力強さも感じる。共演陣では、同じ役で二度目の出演となる佐藤B作がさすがの貫禄。ストーリー上でも野上が重要な役割を果たすだけに存在感は抜群だ。ヒロイン役として、文香を演じる森脇英理子は、「後鳥羽伝説殺人事件」が原作のドラマでは2度目の出演。以前は祐子の友人役だが、今回は原作にない独自に設定されたヒロイン役で、文香の存在が本作の大きな特徴となっている。ほかに、文彦の母・雪江を竹下景子、兄・陽一郎を石丸幹二が担当。さらに高林由紀子、河合美智子、丘みつ子、大和田伸也といった演技派が脇を固めている。ただ本作は、やはり重圧をはねのけて光彦役に果敢に挑んだ、平岡祐太の繊細な演技がが何よりも光っている。そんな彼の奮闘ぶりを改めてかみしめてほしい。

文=渡辺敏樹

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放送情報【スカパー!】

新・浅見光彦シリーズ「後鳥羽伝説殺人事件」(平岡祐太主演)
放送日時:9月6日(金)12:00~
放送チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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