深津絵里が自由奔放に演じるヒロインが魅力的!三谷幸喜監督作品「ザ・マジックアワー」

「ザ・マジックアワー」
「ザ・マジックアワー」

透明感溢れるビジュアルとミステリアスな存在感で、さまざまな映画や舞台、ドラマやCMなどで活躍中の深津絵里。そんな彼女が小悪魔的な美女を演じたのが、三谷幸喜監督による2008年公開の映画「ザ・マジックアワー」だ。

舞台となるのは、古き良きハリウッドを思わせる港町・守加護(すかご)。街を牛耳るギャングのボス・天塩(西田敏行)の愛人・マリ(深津)に手を出してしまった備後(妻夫木聡)は、命を助けてもらう代わりに伝説の殺し屋・デラ富樫を天塩のところに連れて来るよう命じられる。富樫の顔も知らなければ、会ったこともない備後だが、5日以内に天塩と富樫を引き合わせれば、全て水に流すという言葉に従うしかない状況。そんな中で備後は、映画監督を名乗り、三流役者の村田大樹(佐藤浩市)を雇うことに。自らが支配人を務めるクラブ「赤い靴」の従業員・鹿間夏子(綾瀬はるか)とその父・隆(伊吹吾郎)も巻き込み、映画撮影のふりをしながら、村田を富樫に仕立て上げる計画を立てるが...。

「THE有頂天ホテル」などで知られる稀代のヒットメーカー・三谷幸喜が脚本と監督を手掛けるクライムコメディ。そんな本作で深津が演じるのは、恋多き野心家の美女・マリだ。歳の離れたギャングのボス・天塩の愛人として束縛される日々にうんざりしていたマリは、逃避行の相手に備後を選ぶ。初登場シーンでは、ゆるいウェーブがかかった黒髪ボブに真紅のリップといった、インパクトの強いクラシカルなビジュアルも違和感なく我がものにしている深津。キャミソール姿という露出の高いファッションでタバコをくゆらせ、魔性の女ぶりを観る者に印象づけている。

マリと備後との火遊びを知った天塩を前に、「二度と浮気はしない」と許しを請う場面では、困った顔や甘えた声でその場を収めようとするも、彼の心が微塵も揺らがないことに気付き、マリは逆ギレ。天塩への不満をぶちまけ、「殺すならさっさと殺しなさい!」と感情を爆発させる。この一連の演技で深津は、感情の赴くままに周囲を振り回すマリの悪女ぶりを表情豊かでのびのびとした演技で表現した。

村田を巻き込んでの映画撮影という大芝居の中で、自らも女優を演じることになるマリ。そんな彼女が最も輝くのが、天塩と村田の食事会での出し物となるショーだ。白い羽根のヘッドドレスやワンピース、艶やかなグローブを身につけ、三日月のブランコに乗りながら英語のスタンダードナンバーを歌唱するマリ。このシーンで深津が披露する、内側から発光するような美しさと魅惑の歌声は、本作の大きな見どころのひとつとなっている。

備後を始めとする周囲をとことん翻弄しながらも、自分に正直に生きることしかできない女性・マリを自由奔放に演じきった深津。クラシカルなワンピースやタイトスカートのスーツ、鮮やかなエメラルドグリーンのガウンなど、彼女が纏うさまざまなファッションにも注目しながら、その小悪魔的な魅力に溺れてみてほしい。

文=中村実香

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放送情報【スカパー!】

ザ・マジックアワー
放送日時:2024年9月7日(土)21:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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