気持ち温まる「中年の恋」を小泉今日子中井貴一が体現!今も多くのファンに支持される恋愛コメディ「最後から二番目の恋2012秋」

古都・鎌倉を舞台に、中年を迎えた独身男女の恋をコメディタッチで描き好評を博したドラマ「最後から二番目の恋」(2012年放送)。同年にスペシャルドラマ、2014年には続編が作られるほどの人気を誇り、ロケ地巡りをしたファンもいたほどだった。

同シリーズの魅力として挙げられるのが、まずは豪華なキャスティング。ドラマプロデューサーを務める主人公の女性・吉野千明を演じるのは、トップアイドルとして一時代を築いた小泉今日子。演技力も高く、数多くの映画、ドラマに出演していることは周知のとおりだ。

その相手役となるもう1人の主人公、真面目な堅物で、鎌倉市役所に勤務する長倉和平役を務めるのは、日本を代表する名優・中井貴一。さらに、長倉家の長女・典子役が飯島直子、次女・万理子役が内田有紀、次男・真平役が坂口憲二と、そうそうたる顔ぶれだ。

ここでは主に、スペシャルドラマ「最後から二番目の恋2012秋」における小泉と中井について見ていきたい。ドラマ第1シリーズで、ひょんなことから長倉家の隣の古民家で1人暮らしをすることになった千明は、さまざまな形で長倉家の面々と関わり合い、和平たちとの仲を深めていく。

■活発な千明を演じる小泉今日子、哀愁漂う公務員を演じる中井貴一

本作の物語は、千明、和平共に、仕事で問題が発生するところから始まる。千明の方は、制作したドラマの視聴率が振るわず、仕事を干されてしまう。そんな状況だけに、釣り銭切れの自動販売機にイライラして八つ当たりするが、たまたま通りかかったスタッフに声を懸けられ、とりつくろうような笑顔でごまかしたり、携帯電話を切った直後にまたかかってきた時に「おっと」と小さく身体をのけぞらせるなど、活発で表情豊かな千明という人物を、小泉は細かい演技で上手く表現している。そしてその活発さと明るさが、小泉に実によく合っているのだ。

一方の和平は、かつての部下が上司となっただけでなく、著名な作家・向坂緑子(萬田久子)に、何度も断られ続けている鎌倉市の世界遺産親善大使を再び依頼する大役を任される。職場の面々はそんな和平に同情的だが、無理に明るく振る舞う姿にはどことなく哀愁が漂っている。中年の物悲しさを空気で伝える中井の演技も秀逸と言えるだろう。

■注目ポイントは千明と和平の掛け合いと豊かな表情

本作の最大の注目ポイントは、そんな千明と和平の掛け合いの楽しさだ。本作で初めて2人が顔を合わせるのは、仕事帰りの最寄り駅。千明がパスケースをなくしたことをきっかけに言い合いが始まるのだが、2人のやり取りはテンポもよく、声の調子もごく自然で、長く付き合っている関係のように見えてくるから不思議だ。

長倉家に千明が朝食を食べに来た時も、ささいなことから言い合いになる。その途中、和平の「ちょっといいですか」という言葉に、「いやですよ」と軽く千明があしらうシーンなどは、絶妙なテンポに思わず笑ってしまうほどだ。

物語が進むと、千明の家にドラマの脚本家が泊まり込んだり、和平は緑子から意外な申し出をされたりと、さまざまな問題が持ち上がる。そんな中で、小泉は心をときめかせたような絶妙の表情を見せ、中井はどもるほどに遠慮したり困ったりと、見ているだけで引き込まれる演技を見せてくれる。

同時に、中年を迎えて独身でいること、心の拠り所となっていた"仕事"が上手くいかない、といった"中年の寂しさ"が描き出され、同じ状況にある千明と和平の関係もほのかに進展していく。それもまた、このドラマが持つ魅力であり、本シリーズならではの"味"と言えるだろう。

果たして千明と和平の仕事はうまくいくのか。けんかしながらも、お互いを大切な存在として認める2人の関係はどう発展するのか。小泉や中井はもちろん、内田など他の俳優の演技にも注目しながら、2人の中年が紡ぐ恋物語を最後まで楽しんでほしい。

文=堀慎二郎

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放送情報【スカパー!】

最後から二番目の恋2012秋
放送日時:2024年11月1日(金)12:15~
チャンネル:フジテレビTWO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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