武田鉄矢が主演した映画「プロゴルファー織部金次郎」は、武田鉄矢原作・高井研一郎作画による漫画作品を映像化したもの。「ビッグコミックスペリオール」(小学館)に連載された本作は、プロゴルファーになり17年間1勝もしていない男が下町の人情につつまれ、一発発起する物語だ。ただ、もともとは映画用に武田がプロットを創作した企画であり、当初は映画化が進まなかったため結果的に漫画として先行してヒットしたために映画化が実現したようである。第1作は武田が脚本を書き、杉村六郎が監督した。杉村監督は武田主演の「刑事物語」シリーズ全5作中3作でコンビを組んだ盟友だ。第1作は1993年1月に公開され、後にシリーズ化して1998年までに全5作が製作された。2作目から5作目までは武田が自ら監督も務めている。
第1作のストーリーは、下町の脇田ゴルフ練習場にレッスンプロとして主人公の織部金次郎(武田鉄矢)がやって来る場面で幕を開ける。通称"オリキン"こと織部は、プロ生活17年間で1勝もできない男だが、教え方が丁寧でたちまち練習場の常連たちの人気者となる。
ヤクザの親分・勝田修造(大滝秀治)をはじめ、オカマの新珠新三郎(平田満)、バーのママ・毛利綾子(小野みゆき)、医師の多古(ケーシー高嶺)といったクセのある面々だが、皆憎めない好人物だ。さらに常連たちのたまり場であるスナック「バーディー」を経営する正村周(阿部寛)と妹の桜子(財前直見)、練習場の社長・脇田彦三郎(下川辰平)らもオリキンを全力で支える。オリキンはプロとしての自身に見切りをつけ、トーナメント出場を諦めようとしていた。妻とも離婚し、人生から降りようと半ば無気力になりながらも、仲間たちはオリキンを応援し、彼をトーナメントに出場させようと躍起になっていた。勝田親分は必要な金を集めるため、オリキンに内緒で賭けゴルフをやらせる。相手は素人とはいえ関西アマ2位の実力者・白石(小西博之)。勝てば1000万円、負けた場合は桜子の身が危ないという危険な賭けだったが、オリキンは辛うじて白石に勝った。ところが、賭けゴルフの現場を中島常幸プロ(本人出演)に見とがめられて意気消沈。金は返して、桜子らも責任を痛感。地元商店街を巻き込んで、募金を行い、まっとうな手段でオリキンを応援する。期待に応えようと一念発起して厳しい練習を開始したオリキンだったが...という物語だ。
ストーリーは単純明快で、テンポもよく非常に見やすい構成になっている。主人公を演じる武田は、本作の前年にフジテレビ系ドラマ「101回目のプロポーズ」に主演し、最高視聴率を打ち出して人気の絶頂期。俳優としても自信を深めていたのか、本作での演技も見事だ。
放送情報【スカパー!】
プロゴルファー織部金次郎
放送日時:11月17日(日)12:00~
放送チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
詳しくはこちら