物語には坂本龍馬をはじめとする、江戸時代の終わりに大きく関わる人物たちが多数登場する。南方はそんな人々との接触に自身が歴史を改変してしまうという苦悩を抱えながら接することになる。
このドラマの大沢は圧巻の芝居といっていい。現代では迷える医者として頼りない表情をしていたが、話数を進めるにつれ全てが足りていない江戸で試行錯誤しながら医者としての熱意に満ちた顔になっていく。現代では救命率が圧倒的に高い手術によって簡単に命が無くなってしまうという緊迫感に溢れる現場の数々を、逃げていたはずの執刀医として向き合う姿は大沢の覚悟を感じ、それはまるで大沢自身が本当に医者として働いていたのではないかと錯覚するほどだ。そんな大沢と共に更にドラマを盛り上げるのが橘咲を演じる綾瀬はるかだ。
■綾瀬はるか、ドラマに華を添える巧みな表情
橘はタイムスリップしてきた南方の結果的な世話役として密接に関わっていくのだが、その綾瀬の芝居が素晴らしい。例えば物語の中で南方にしかわからないことが沢山ある。しかし、それらは現代の視聴者からしては当たり前の単語で綾瀬も知っているに違いない単語だ。その簡単な単語を橘として南方に聞き返す綾瀬の表情は「本当に知らないのだな、江戸時代の人だもの」と納得させられる説得力を持っている。まるで子供が知らない単語を親に尋ねるような無垢な表情でもあり、応援したくもなるのだ。この綾瀬の自然な表現がなければ、南方がタイムスリップをしてきたのだという事実が噓くさくなっていたかもしれない。
この作品は10年以上経った今でも輝きを持つドラマだ。大沢と綾瀬の演技に注目しながら、是非鑑賞してみてほしい。
文=田中諒
放送情報【スカパー!】
JIN-仁-
放送日時:12月14日(土)10:00~ [全話一挙放送]
JIN-仁-完結編
放送日時:12月15日(日)10:00~ [全話一挙放送]
放送チャンネル:TBSチャンネル2 名作ドラマ・スポーツ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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