レオナルド・ディカプリオが内面を丁寧に表現!夢の中の奮闘描く映画「インセプション」

(C) Warner Bros. Entertainment Inc. and Legendary Pictures

映画「タイタニック」を経てハリウッドを代表する俳優となったレオナルド・ディカプリオ。端正な顔立ちから日本でも「レオ様」として熱狂的なファンを集めていたが、彼の俳優としての能力を隅に置くことはできない。

2010年代、世界で大きな注目を集めたのが映画「インセプション」。クリストファー・ノーラン監督がメガホンを取り、夢の世界をテーマに難解かつ繊細な物語を作り上げた。強制的に現実に戻って来る「キック」や、夢か現実か判別するための「トーテム」など独自の用語もカギを握る。

その映画で主演を務めたのがディカプリオ。「エクストラクト」という方法で人の潜在意識の中に潜り込み情報を抜き取る産業スパイでありながら、妻を亡くして闇を抱えているというコブというキャラクターを演じた。

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コブをリーダーとし、相棒アーサー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)や"設計士"アリアドネ(エリオット・ペイジ)、"偽装師"イームス(トム・ハーディ)らそれぞれのエキスパートと手を組む。ターゲットであるロバート・フィッシャー(キリアン・マーフィー)の夢の中に入り、アイディアを植え付ける「インセプション」という共通の目的のために動き出す。

最終的なゴールはシンプルだが、そこに至るまでの過程は複雑だ。「第1階層」の夢から、夢の中の夢の「第2階層」、最終的には夢の中の夢の中の夢という「第3階層」まで潜り、様々なトラブルに見舞われながら、コブらは奮闘する。

今がどの階層で何が起きているのかと頭の中で整理するだけでも大変だが、そこに厄介なヴィランもいるのだからややこしい。本作でその役目を担っているのがコブの妻であるモル(マリオン・コティヤール)。すでに故人でありながら、夢の中に出てきて度々コブを惑わしてくる。

モルのせいで小さな失敗を重ねていくコブの姿を見ているともどかしい。「夢なんだから気にしないで」と声をかけたくなるが、ディカプリオの意思のこもったような瞳を見ていると、2人の関係性にとやかく言うことはできないんだと気付かされてしまう。

ディカプリオ自身、年齢を重ねてかつての美少年という印象は消え去った。しかし、その一方で心に葛藤を抱えるコブのひとつひとつの行動の迷いや、決断など人間らしい内面を丁寧に表しており、ディカプリオだからこそ成り立ったキャラクターだと強く感じさせる。

ディカプリオ同様、俳優キャリアを大きく前進させたのが主人公の相方を務めたジョセフ・ゴードン=レヴィット。「(500)日のサマー」などおとなしい男性のイメージも強かったが、今作では強くクールに戦うアーサーを演じきった。とりわけ「第2階層」での"無重力バトル"は本作のハイライトのひとつで、プカプカと浮かぶ中でアーサーが仲間たちをひとまとめにして運ぶなど、せっせと自身の役割を全うしている努力は涙ぐましささえある。

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アーサーの他にも全員がそれぞれの階層で戦い、それを当たり前のようにこなしている。小言は言うが、泣き言は言わないというプロフェッショナリズムのようなものが共通しており、だから性格の異なるメンバーが同じ方向を向けるのだと理解できる。

彼らの奮闘がどのような結末を迎えるのか。コブ個人で言えば最後には自身の過去に打ち克ち、求めていた世界に戻ってきたように見える。しかし、それが夢か現かは定かではない。ディカプリオの憑き物が落ちたような表情を見ていると、「どうかコマ(トーテム)よ止まってくれ」と願ってしまう。

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文=まっつ

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放送情報【スカパー!】

インセプション
放送日時:2025年1月25日(土) 21:00〜
チャンネル:WOWOWプラス

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