松下洸平の気迫に満ちた体当たりの熱演も...息子を想う気持ちを切々と訴える富田靖子の長セリフに心揺さぶられる渾身の2人舞台「母と暮せば」

俳優

こまつ座「母と暮せば」(2024年版)
こまつ座「母と暮せば」(2024年版)

撮影:福岡諒祠

「戦後"命"の三部作」の第二弾となるこまつ座の舞台「木の上の軍隊」でも新兵役で確かな演技力を発揮した松下は、浩二が亡霊として母の前に現れてから緩急に富んだ魂の芝居で魅了する。冒頭、舞台上に姿を見せた浩二は生きていた当時と変わらない素朴な青年像で伸子と会話をし、明るく笑い、穏やかな"あの頃の風景"を作り上げる。

しかし、映画では描かれなかった"原爆で身体が焼け亡くなるとき"を浩二が話し始めると場の空気が一変。熱線を浴び「熱か!熱か!」ともだえて苦しむシーンは見る者の心を何度もえぐるように刺す。

こまつ座「母と暮せば」(2024年版)
こまつ座「母と暮せば」(2024年版)

撮影:福岡諒祠

こまつ座「母と暮せば」(2024年版)
こまつ座「母と暮せば」(2024年版)

撮影:福岡諒祠

同場面は「被爆した瞬間の身体が燃えていく演技に迫力があった」と高い評価を得て、初演時には第26回読売演劇大賞・優秀男優賞と杉村春子賞、平成30年度(第73回)文化庁芸術祭演劇部門・関東参加公演の部 新人賞をトリプル受賞した。

こまつ座「母と暮せば」(2024年版)
こまつ座「母と暮せば」(2024年版)

撮影:福岡諒祠

待望の再々演となる2024年版(12月29日(金)に衛星劇場にてTV初放送)は、3度目だからこその2人の自然な呼吸はもちろん、より進化した芝居のリアリティや深みに引き込まれること必至。長崎の坂の上に住む母と一人息子の物語が、笑って泣いて、どうしようもなく心揺さぶられる約90分を届けてくれる。初演の幕が開いて6年。より円熟味を増した"2人芝居"を貴重な映像で堪能したい。

文=川倉由起子

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放送情報【スカパー!】

こまつ座「母と暮せば」
2018年版
放送日時:2024年12月29日(日)14:30~
2021年版
放送日時:2024年12月29日(日)16:00~
2024年版
放送日時:2024年12月29日(日)17:30~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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