
(C)ドリマックス/TBS
本作で谷原が演じる田代は、情熱を注いでいた仕事から外されたことで、無気力な日々を過ごしている新聞記者。殺伐としている同フロアの社会部・凶悪犯罪情報班とは正反対のゆったりとした空気が流れる地域情報部で、年下の同僚・木崎からの質問にものんびりと答えるなど、穏やかな人物に見える。しかし、社会部時代の後輩で、現在は雑誌「週刊毎朝」の記者として働く川島が記事をすっぱ抜いたとして、社会部の重鎮から罵倒されている姿を見るシーンでは、谷原の瞳には鋭い光が宿り、まだまだスクープへの嗅覚が衰えていないことが見て取れる。また、川島に声をかけられ近況を報告し合う場面では、木崎と話していた時ののほほんとした空気から一転、谷原の切れ味鋭い低音の美声が堪能できる。

(C)ドリマックス/TBS
そして、しばらく足が遠のいていた地元・来実村を訪れた田代は、木崎から「蛍を見たことありますか」と尋ねられる。「3年ほど前に見た」と答えながら、その時のことを回想する田代は、山の中で目撃した"蛍と戯れる白い服の美女"を思い出す。
その美女を演じているのが、数々のサスペンスドラマで美貌のキーパーソンを演じてきた矢田亜希子だ。どこか浮き世離れした雰囲気の彼女の姿を追って奥深い山の中へと足を踏み入れたのを機に、田代は不思議な事件に巻き込まれる...というように、本作でも矢田は、物語の鍵を握るミステリアスな存在を好演している。当初はほとんど顔が映らない状態での登場だが、歩いている後ろ姿だけでも美女オーラが全開。そして、遂に田代と対面した際は、清楚な雰囲気と圧倒的な透明感を纏いながら「あなたは関わらない方がいい」という言葉をかける。視聴者の心境を代弁するような、田代の「どういうことですか」という問い掛けに答えることなく、どこか悲しげな柔らかい微笑みを浮かべながら去って行く矢田の儚げな美しさは要注目だ。

(C)ドリマックス/TBS
その他にも、軽い口調の怪しげなゴシップ記者・久野を好演する上川や、クセの強い刑事役の滝藤賢一など、脇を固める名優陣の熱演や、原作とは違う謎解きや結末も見どころのひとつ。谷原の美声や矢田のミステリアスな美貌に注目しながら、山あいの村で起こる謎めいた事件の結末を見届けてほしい。
文=中村実香
放送情報【スカパー!】
松本清張サスペンス 影の地帯
放送日時:2024年12月21日(土)17:30~
チャンネル:チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
詳しくは
こちら