今、最も勢いのある若手俳優、酒井大成のポテンシャルの高さが表れた複雑な心境の演技に注目！舞台「王様戦隊キングオージャー ファイナルライブツアー2024」

同公演は、第2幕で披露された撮影裏話やキャストが互いの印象を明かし合ったトークに加え、普段は見ることのできないキャストの歌唱シーンなど、ファンにはたまらない魅力が満載のイベントとなったのだが、そんな中で酒井の役者としてのポテンシャルの高さを感じられたのは第１幕のヒーローショーだ。

このショーは、キングオージャーが「宇蟲王」ダグデドを倒してチキューに平和をもたらしたレギュラー放送の最終話から少し時が経ったチキューを舞台に、「六王国サミット」の開催中に乱入してきたチキューの王の座を狙うカスナラクとの戦いを描いたもの。

決して強くはないが狡猾な手段を多用してくるカスナラクに、キングオージャーの面々は追い詰められていくのだが、変身前と変身後の切り替えや特効を駆使した舞台演出もさることながら、ステージだけでなく客席までも使ってのびのびと演じる俳優陣の姿が印象的で、1年間演じ続けてきた役への愛着が感じられ、まさに集大成といえる演技を見せており、作品として見応えのあるすばらしいものになっている。

そんな中で、酒井はギラ・ハスティーの心の揺れ動きを繊細に表現。カスナラクの罠にはまり、拘束された場所での兄、ラクレス・ハスティー(矢野聖人)と口論するシーンでは、「王としての考え」と「弟としての兄への敬愛」がないまぜになった心情を細やかに表しながら、つい頼りがいのあるラクレスに甘えた口をきいてしまう姿など、さまざまな要素が同居している複雑な心境のギラを好演。キングオージャーでのやんちゃな顔と共に、"弟"感あふれる一面も披露し、同じ役での幅の広さを見せている。

この"弟"感あふれるかわいらしさは、ドラマ「三ツ矢先生の計画的な餌付け。」の石田友也役にも通ずる部分があり、「王様戦隊キングオージャー」で得たものをしっかりと血肉に変えていることが垣間見え、これからの成長も期待させてくれる。

さらに、第2幕のトークでは、酒井が初めてレギュラー出演したドラマ「親友は悪女」(2023年、BSテレビ東京)でも共演している矢野が、酒井について「カッコつけなくなった。自分に素直になって、それがすごくお芝居に反映されている」と評しており、役者としての成長に太鼓判を押す一幕も。

舞台ならではの演出とキャスト陣の１年の集大成となる演技を堪能しつつ、ドラマ初主演で目覚ましい成長を遂げた酒井の演技に注目していただき、今後の期待値の高さを感じてほしい。

文＝原田健

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