
(C)2019「静かな雨」製作委員会/宮下奈都・文藝春秋
仕事場に行く道中にあるたいやき店を1人で切り盛りしているこよみのことが気になっている行助は、ひょんなことから、こよみと言葉を交わすようになる。しかし、勇気を出して電話番号を書いた紙を渡した日の夜に、こよみは事故に遭って意識不明の状態に。病院を訪れた行助は、こよみの母(河瀨直美)に彼女の恋人だと思われ、「こよみの面倒を見てほしい」と頼まれてしまう。

(C)2019「静かな雨」製作委員会/宮下奈都・文藝春秋
意識は戻ったものの、古い記憶しか残らず、新しい記憶が1日ごとに塗り替えられるようになってしまったこよみの生活を案じた行助は、こよみに自分の家に引っ越してくるよう提案する。襖(ふすま)を隔てた同居生活が始まるが、切ないのは、こよみが毎朝戸惑った顔で「ここ、ゆきさん家(ち)?」と尋ね、病状を把握している行助が、そのやりきれなさを押し込めながら同じ説明を繰り返すことだ。象徴的なのは行助が苦手なブロッコリー。苦手なことを伝えても、こよみは翌日には忘れており、料理に入れてしまうのだ。

(C)2019「静かな雨」製作委員会/宮下奈都・文藝春秋
こよみのバックグラウンドは多くは語られず、毎日、自分のことを行助に問いかける伏し目がちな表情が、彼女の抱えている不安を物語る。こよみの元恋人(萩原聖人)と出会ったことで心が乱れ、雨が降りしきる中で行助がベンチに座っているシーンも、無言ながらも行助のやるせない気持ちがひしひしと伝わってくる。
■現実を受け入れて生きる姿から伝わるのは、日常の何気ない幸せ
放送情報【スカパー!】
静かな雨
放送日時:2025年2月4日(火)21:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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