中谷美紀菊池風磨の演技合戦に息を吞む!猟奇殺人犯を巡るサスペンス「連続ドラマW ギバーテイカー」

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⒞2023 WOWOW INC.

そして、中谷と同様に圧倒的な存在感で物語を牽引していくのが、男性アイドルグループ・timeleszとして活躍している菊池風磨だ。菊池が演じるルオトは、生まれながらの美しいビジュアルを武器にして多くの人の警戒心を緩めさせてしまう存在。冷酷な猟奇殺人犯という本質は医療少年院で過ごした12年間の中でも変わることはなく、"幸せは奪うもの"という異常な価値観のもと、ある理由から次々と人の命を弄んでいるサイコパスだ。

住み込みも可能なアルバイトを募集していたベーカリー「幸せの穂」で仕事がしたいと、従業員の津山聡美(馬場ふみか)に声をかけたルオト。現在は小林一馬と名乗るルオトが店長に志望動機を聞かれて答えるシーンで菊池は、「この店で働いて、僕も誰かを笑顔にできたら楽しそうだなって」と、寂しげな笑顔を浮かべる。このように人の庇護欲を巧みにそそり、その懐へするりと入り込むテクニックの持ち主であるルオトを、菊池は自然体の演技で表現してみせた。聡美のことを養父との不適切な関係から救うかわりに、彼女を都合の良いコマとして支配していく過程で見せる不敵な微笑みや、自らが手にかけた少女の母親・樹と12年ぶりに再会した際に見せる恐ろしいまでに無邪気で明るい笑顔など、表情のバリエーションを駆使して、ルオトという人物の底知れなさを見事に体現している。

ルオトの退院後、都筑中央署の所轄で次々と発生する自殺や失踪事件。そのすべてにルオトが関わっていると睨んだ樹のことを唯一信じる刑事・今井要役には池内博之。そして樹とルオトとの因縁を再度結びつけてしまった樹の警察学校時代の同期・椿理子役には深川麻衣と、脇を固める役者陣も実力派揃い。特に、物語の鍵を握るルオトの母親・貴志茉莉絵を演じた斉藤由貴による第4話での絶叫シーンは、その鬼気迫る表情に圧倒されること確実だ。

累計発行部数1000万部超を記録した「ライフ」で知られる漫画家・すえのぶけいこによるコミック「ライフ2 ギバーテイカー」が原作の本作。原作では穂乃花の姉だった樹を母に変更し、捜査陣が織りなす人間関係も丁寧に描くなど、より大人が感情移入できるリアルで骨太なストーリーにバージョンアップしているのも見どころの1つだ。

ルオトがなぜ殺人に手を染めるようになったのか、そして一連の犯行の動機はなんだったのか。すべてが明かされるクライマックスに待ち受ける、中谷と菊池の息詰まる演技合戦を決して見逃さないでほしい。

文=中村実香

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放送情報【スカパー!】

連続ドラマW ギバーテイカー
放送日時:2025年3月16日(日)23:15~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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