玉山鉄二谷原章介渡部篤郎の重厚な演技合戦に息を吞む!貫井徳郎原作のドラマ「犯罪症候群」

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「犯罪症候群 Season1」 ©2017 東海テレビ/WOWOW

Season1は、原作小説三部作のうち、「失踪症候群」「誘拐症候群」を映像化した全8話。そこで主人公・武藤を演じる玉山は、愛する妹を無残な姿で殺された元刑事を熱演。第1話「特命」の冒頭で描かれる、妹の笑顔を最後に見た時から始まる回想シーンでの、玉山が纏う空気は明るく爽やか。しかし、小百合が路上で血を流して息絶えている姿を発見した瞬間から、悲しみと怒り、そして復讐心を秘めた固い表情に一変。降りしきる雨の中、犯人の男子中学生を殺意を込めて殴り、仲間の刑事に止められてもその腕を振り払い、掴みかかるという、鬼気迫る演技を見せた。

その後、"犯人が少年法に守られて正当な裁きが期待できないのなら、刑事を辞めてでもその手で復讐する"という覚悟を鏑木に見透かされ、さらには犯人が自殺したことを聞かされる武藤。その際の玉山が見せる困惑とやり場のない怒りの演技は、観る者の胸を締めつけずにはいられないほどの悲しみに満ちている。

「犯罪症候群 Season1」 ©2017 東海テレビ/WOWOW

そんな玉山の演技とは対照的に常に穏やかな表情を浮かべているのが、鏑木役の谷原だ。婚約者の小百合が殺害された現場に武藤よりも先に到着していた鏑木は、嘆き悲しむ武藤とは正反対とも呼べるほど、呆然とした表情で立ちすくむのみ。そして、武藤に犯人が自殺したことを告げる際も、感情が読み取れないほど平坦な口調と無表情といった状態なのだ。そんな鏑木を谷原は、彼の魅力の1つでもある美声と、優しげなオーラで表現。しかし、その裏に隠された鏑木の真実が、小説「殺人症候群」を原作とするSeason2では明かされていく。

「犯罪症候群 Season1」 ©2017 東海テレビ/WOWOW

武藤、鏑木と深く関わる警視庁人事二課の環を演じる渡部は、彼が得意とする"敵か味方か不明な人物"、"何を考えているのか全く読めない男"という要素を併せ持った人物を本作でも好演している。犯罪者への強い執着心を持つ武藤を高く評価し、「あの男は心に獣を飼っているんですよ」と刑事部長に告げるなど、妙に武藤に肩入れする環。そんな彼の真意が明かされるSeason1最終話のラストシーンや、警視庁の廊下ですれ違うたびに牽制する鏑木との一触即発の雰囲気は必見だ。

本作は5月4日(日) にWOWOWプラスで一挙放送される。武藤を主人公に描くSeason1、鏑木が主人公となるSeason2と、2人の男の視点から作品の共通テーマである「復讐の是非、正義の意味」を描き出す社会派サスペンス。玉山、谷原、渡部という実力派俳優の演技合戦が楽しめる大人のためのエンタテインメントドラマを堪能してほしい。

文=中村実香

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放送情報【スカパー!】

犯罪症候群 Season1 #1~8 (全8話)
放送日時:2025年5月4日(日)10:30~ほか

犯罪症候群 Season2 #1~4 (全4話)
放送日時:2025年5月4日(日)17:00~ほか

チャンネル:WOWOWプラス
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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こちら

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