
走行速度が時速80キロを下回ると、新幹線に取り付けられた爆弾が爆発する──この斬新なアイディアが、ハリウッドの大作「スピード」(1994年)にも影響を与えたと言われている日本映画「新幹線大爆破」(1975年)。高倉健、宇津井健らが名を連ねたこの名作は、5月9日(金)からのリバイバル上映も話題を集めている。
世界中に愛されるこのパニックムービーの傑作を、草なぎ剛(※「なぎ」は正しくはゆみへんに「剪」)主演でリブートしたNetflix映画「新幹線大爆破」も4月23日(水)から配信がスタート。半世紀の時を超えて現代風に生まれ変わった物語は早くも話題沸騰中だ。

■オリジナルの良さを残しつつも現代的に生まれ変わったストーリー
1975年版の大ファンだという樋口真嗣監督がメガホンを握ったリブート版は、"新幹線に取り付けられた爆弾がある速度を下回ると爆発する"という設定はそのままに、乗客、乗務員や運転指令員、警察、政府関係者らが危機を回避すべく奮闘する様を描く。
新青森から東京へ向けて定刻どおりに出発したはやぶさ60号。その車内では、車掌の高市(草なぎ)が、修学旅行生の団体や政治家、起業家配信者ら様々な乗客を迎えていた。そんな中、はやぶさ60号に爆弾を仕掛けたという1本の電話が入る。さらに犯人は爆弾の解除料として1000億円を要求し...。

原作では高倉健演じる犯人が冒頭から明かされ、動機や車内のパニックを通じて、高度経済成長期の拝金主義に対する批判の眼差しが盛り込まれていた。一方リブート版では犯人が誰なのか?というミステリー要素を追加。新幹線の進化やタイムリミットの短縮など、よりノンストップなパニック映画として再構築されている。
犯人像をはじめ、個性豊かな乗客の顔ぶれや車内での揉め事の原因、日本社会に漂う野次馬根性や不寛容な空気感など、しっかりと今日的なエッセンスも盛り込まれている。

■立場と感情の間で揺れる葛藤も...草なぎ剛の演技力が光る主人公
そんな本作では、主人公を最も現場に近い場所で活躍する車掌に変更。樋口監督とは「日本沈没」(2006年)でも主演×監督としてタッグを組むなど、旧知の仲である草なぎ剛がこの主人公・高市を演じている。

後輩の藤井(細田佳央太)に対し上司として厳しくも柔軟に接し、どんな客も対等に扱うなど、誠実かつ厳格な態度で仕事を遂行していく高市。そのキャラクター像を、草なぎは持ち前の温和な雰囲気や丁寧な口調、勇ましい眼差しで表現しており、乗客の気持ちで見ている視聴者としても安心感が抜群だ。
そんな仕事人な一面と同時に、パニックに対する恐怖心を打ち明ける焦り気味の口調や藤井の未熟な行動に対する困り顔、卑劣な犯行に対して怒りで顔が歪む鬼の形相など、高市の人間味溢れる部分も表現。ふとした瞬間のさりげない演技で作品にエモーションをもたらしている。
<配信情報>【Netflix】
Netflix映画「新幹線大爆破」独占配信中
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