杉咲花、北村匠海ら実力派俳優陣が一堂に会して描かれる緊迫の密室劇!「十二人の死にたい子どもたち」
俳優

(C)2019「十二人の死にたい子どもたち」製作委員会
杉咲演じるアンリは、過去のある出来事をきっかけに「自分は生まれてこないほうがよかった」という想いを抱き、この"集い"にやってきた。そんなアンリの心に棲みつく闇に、彼女の知的な性格も相まって、参加者の中でもひときわ冷淡で達観している雰囲気を持つ。そんなアンリを杉咲は、淡々としながらも語気の強いセリフ回しと、抑揚の少ない声のトーンで表現した。また、表情をとっても、感情を出すことをあえて抑えており、アンリの冷静さと知的さをしっかりと印象付けている。
そんな杉咲の演技力の高さが特に感じられるのが、後半に入り、アンリの感情が少しずつあらわになっていく過程だ。殺人の疑いをかけられた際にアンリが「こんな戯言を聞かされるくらいなら酸欠で死んだ方がマシだわ」と早口でまくし立て、苛立ちをあらわにする場面では、それまでの杉咲の抑えた感情表現があるからこそ、その対比でアンリの感情の起伏がはっきりと浮かび上がっている。また、アンリが自身の過去を語る場面では、アンリの心情を、緩急をつけた話し方と表情の移り変わりで表現。淡々とした話し口調と暗い目で過去を語り始めたアンリの中から、徐々に怒りが沸き上がってくるさまを表現した。過去に対する怒りや悲しみなどの"内に秘めた感情" の描写を繊細な演技でやってみせた杉咲の演技力が、ストーリーに厚みを与えている。
■北村匠海がキーパーソンとしての役割を果たした
北村演じるノブオは、アンリとは対照的に、穏やかなタイプ。参加者の言葉を受け止めたり、気持ちに共感したりする優しさも持っている少年だ。自身でも「昔から大抵のことは人並み以上にできちゃったから」という通り、一見そつがなく、「なぜノブオがこの集いに?」と観る者に疑問を抱かせる。しかしそんな振る舞いの中に、発言や行動の"わずかな違和感"を随所に散りばめ、物語をリードするキャラクターだ。
そんなノブオを、北村はセリフの間の取り方や声のトーンを駆使したナチュラルな演技で表現。細やかな演技なので、参加者に自然に溶け込んでいるようには見えつつ、「でもどこかに違和感があるな...」と思わせて映画の世界に引き込んでくれる、キーパーソンとしての役割を果たしている。
また、穏やかさの裏には重い過去を抱えるノブオの葛藤や心の揺れ、そしてその過去と向き合うことができた時の彼の気持ちの変化や成長といった"心情のコントラスト"を、緩やかに変化していく表情と声のトーンで表現した。
"0番"の死の真相を追う中で次第に交差していく、それぞれの過去と、死を望む理由。やがて彼らの中には"自身は死を望むのに、相手には生きてほしいと思ってしまう"という、相反する感情が共存するようになるのだが、そこには思春期の少年少女たちの複雑さがリアリティをもって描かれている。廃病院に集まった"十二人の死にたい子どもたち"が最終的に選ぶ道とは?若手実力派俳優たちの演技にも注目しながら、その結末を見届けてほしい。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
十二人の死にたい子どもたち
放送日時:2025年5月3日(土)15:45~、5月10日(土)3:10~
チャンネル:WOWOWシネマ
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