「必ず、ホシを挙げる!」と、内藤剛志の名セリフが心地よい!大富豪殺しを追う「警視庁・捜査一課長スペシャル7」
俳優

⒞テレビ朝日・東映
本作は"大福"こと平井真琴警部補(斉藤由貴)が出演しないものの、代わりにスペシャルではおなじみの高井智代子が管理官となって登場。見つけの山さんこと、小山田大介警視(金田明夫)、運転担当の奥野親道刑事(塙宣之)、若手の天笠一馬刑事(鈴木裕樹)、ユニークな叱咤激励の場面でおなじみの笹川健志刑事部長(本田博太郎)ら、おなじみの顔ぶれがそろう。
居酒屋の店主・佳代の証言で、寺門恵子が電話で話していたという「アン肝を煮る」というメッセージの謎、さらに被害者・漆原の意外な過去が暴かれるなど、様々なシークエンスが織り込まれ、後半では一気に物語が動いていく怒涛の展開で最後まで目が離せない。
大岩を演じる内藤の安定感は相変わらずで、おなじみの名セリフ「必ず、ホシ(犯人)を挙げる!」も心地よい。ちなみにこのセリフは、もともと「ホシを挙げろ」と命令口調だったものを内藤の提案で変更した逸話が知られている。部下を信頼して労う場面が多い大岩には、命令口調は似合わないとの判断だ。確かに、部下にはもちろん、犯人に対しても大岩は弾劾するのではなく、反省や再起を促す姿勢を崩さない。そんな温かい心を感じさせる内藤の演技が見事だ。まさに理想の上司像を体現していると言える。
とよた真帆、大久保佳代子らゲスト陣の演技も印象深いが、特に大久保の演技がいい。お茶目で明るい性格だが、寂し気な表情を覗かせるなど、深みのある芝居を披露してくれた。また、平野刑事役の堀家一希が、「身長から性格まで、すべてが平均点」という妙な設定で、大岩から「平均点」というあだ名をつけられる。個性の弱さから、終始自信がなさそうなのだが、最後に見せ場も用意されていて存在感を放っていた。
大岩を演じる内藤の魅力的な演技を核として、地道な捜査で意外な犯人に迫っていく過程が楽しめる「警視庁・捜査一課長スペシャル7」は、人情派の刑事ドラマが得意なテレビ朝日らしい魅力のコンテンツに仕上がっている。「アン肝を煮る」の謎も面白い仕掛けだったが、"安楽椅子探偵"よろしく、画面越しに犯人を推理しながら、最後までじっくり楽しんでほしい。
文=渡辺敏樹
放送情報【スカパー!】
警視庁・捜査一課長 スペシャル7
放送日時:2025年6月3日(火)11:00~
放送チャンネル:テレ朝チャンネル1
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