田村正和いしだあゆみ、時代を駆け抜けたスターの若き日の熱演を見られる映画「われら劣等生」

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(C)1965松竹株式会社

鈴木亮による書籍「現代高校生気質・われら劣等生」を原作に、1960年代前半の高校生たちの日常を味わい深いモノクロームの映像で綴る本作。主人公の大助を演じた田村は、"どこか影のある美少年"という、自身の生まれ持った個性を最大限に活かせる役柄をナチュラルに表現。冒頭シーンで見せる、クラスメイトの女子との口論でのリズミカルなセリフの掛け合いからも、当時20代前半だった彼のみずみずしさが伝わってくる。

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一方のいしだは、国語の時間に「ハムレット」のオフィーリアになる夢を見ており、教科書を朗読させられてクラスメイトに笑われるというシーンで初登場。みち子というキャラクターをいきいきと演じ、観る者に強い印象を残した。

2人が初めて言葉を交わすのが、とある放課後だ。今で言うワンルームに母と2人で暮らす大助は、家に母の恋人が来ていることを知り、道端で時間を潰していた。そんな大助の姿を発見し、みち子は無邪気に声をかける。友人とデパートでウィンドウショッピングをしてきたと笑顔を浮かべるみち子に「早く帰らないとだめじゃないか。勉強があるんだろ」と優しく注意する大助。ここから始まる2人だけのシーンでは、大助の家庭の事情や、あえて劣等生でいることを選んでいる理由などが明かされていく...。みち子が大助に特別な想いを抱いているのを伝えてくるいしだの少し甘えた声や、大助がみち子に心を開いていると感じられる田村の優しい声の調子など、遠景でのカメラワークだからこそ際立つ彼らの表情に頼らない演技力が味わえる名場面だ。

ミスコンテストの開催を知って密かに闘志を燃やす女子たちなど、当時の高校生たちの等身大の姿を流行歌も盛り込みながら描く本作。今観ても斬新なカメラワークや演出などにも注目しながら、いしだと田村という時代を駆け抜けたスターたちの若き日の熱演を堪能してほしい。

文=中村実香

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放送情報【スカパー!】

われら劣等生
放送日時:2025年6月27日(金)0:15~、7月5日(土)11:30~、7月22日(火)8:15~ほか
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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