伊藤英明内野聖陽が兄弟役を演じ、対照的な演技を見せた映画「252 生存者あり」

俳優

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(C)2008「252」製作委員会

篠原祐司は、娘・しおりの誕生日を祝うため、妻・由美(桜井幸子)と銀座で待ち合わせをしていたが、新橋駅にいた由美はパニックで逃げ込んできた人たちの群れで、しおりと離れ離れになってしまう。祐司が連絡を受け向かうと、地下へ流れ込んだ大量の水が鉄砲水となって地下鉄を襲い、新橋駅は轟音とともに崩落した。土砂に埋もれた地下のホームでしおりを見つけるが、地上への出口はふさがれており、閉ざされた空間に取り残されたのは5人だった。

祐司としおり、研修医の重村(山田)、大阪で中小企業を営む藤井(木村)、韓国人ホステスのスミン(MINJI)。怪我を負っているスミンの応急手当てをし、鉄パイプで壁を叩いて生存者がいることを知らせるように指示する祐司。だが、重村は閉じ込められた状況に半ば絶望的になり、苛立ちをぶつけ、子供たちのためにもここで死ぬわけにはいかないと言う藤井と衝突する。やがて祐司が元レスキュー隊員だったこと、重村が研修医であることなど互いの素性が明かされていく。培われた的確な判断力と身体能力、リーダーシップで愛する娘を案じながら全員を守ろうと奮闘する主人公を演じた伊藤は泥くさいヒーローになりきっている。

■レスキュー隊の隊長の苦悩を滲ませる内野の演技に胸打たれる

(C)2008「252」製作委員会

本作のもうひとりの主人公は東京消防庁のハイパーレスキュー隊の隊長を演じる内野だ。臨時の指揮本部となった新橋のホテルに怪我人たちを運び、対処に当たる中、気象庁の海野(香椎)はいてもたってもいられず、現場に駆けつけ、大型台風の進路を分析。崩落が始まっている地下に侵入するのは隊員の命に危険が及ぶと本部長(杉本哲太)の判断が下る中、悔しさとやりきれなさで顔を歪ませる抑えた芝居は息苦しくなるほど真に迫っている。地下と地上、脱出と救助の側に立ち、"生死"に向き合う兄弟を演じた伊藤と内野の演技の対比が感涙の人間ドラマに奥行きを与えている。

文=山本弘子

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放送情報【スカパー!】

252 生存者あり
放送日時:2025年7月13日(日)14:30~
放送チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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