柳楽優弥と石原さとみが、心の傷を乗り越えていく少年少女をみずみずしく好演!2007年のW主演作「包帯クラブ」
俳優

(C)2007「包帯クラブ」製作委員会
石原が演じるワラは、両親の離婚によって母と2人暮らしになった女子高生。母親は仕事で疲れ果てており、ワラは自宅で手首にけがをした時も自分で包帯を巻かなければならず、その後病院に行った時には医者から「リストカットは良くないね」と一方的に決めつけられてしまう。そんな状況に嫌気がさしているワラを、石原はこわばった表情と不機嫌そうな口調で演じ、ワラの孤独を痛々しく表現してみせた。
病院の屋上で群馬県名物でもある"赤城おろし"に吹かれていた彼女に声を掛けるのが、柳楽演じるディノだ。ワラのスカートをのぞき、「なんや、ジャージか!」と関西弁で残念がるディノは、ワラの手首をみて「今から死ぬっちゅう時もパンツ見られんの嫌なんや」と声をかける。その際に柳楽が見せるいたずら好きの子どものような瞳の輝きや調子の良い口調、そして無造作に伸びた長髪にバンダナ、ジャージ姿という怪しげなファッションも手伝い、"クセ者感"が半端ない。
そんな謎の少年にも手首の傷をリストカットだと決めつけられていら立ったワラは、「リスカじゃねえって言ってんだろ!」と、感情を爆発させる。一通り悪態をついた後で呟く「みんな何も考えず言いたいことだけ言いやがって」というワラの言葉から、ディノは彼女の孤独を感じ取る。このシーンで見せたディノの繊細な表情の変化から、柳楽優弥という役者の圧倒的な演技力を実感できるはずだ。そして、その表情を引き出した石原の、女子高生らしいリアルな感情が乗ったセリフ回しも特筆に値する。
「包帯クラブ」の活動を通し、自分の心の傷も癒していくワラとディノ。互いに相手を理解者だと実感する中で、誰にも見せなかった傷を明かし、乗り越えていくさまを、みずみずしい演技で見事に表現した柳楽と石原。そんな彼らを支える貫地谷や田中のフレッシュな演技と共に、「包帯クラブ」の面々が選び取る未来の行方を見届けてほしい。
文=中村実香
放送情報【スカパー!】
包帯クラブ
放送日時:2025年7月1日(火)11:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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