中山優馬が再び挑む『大誘拐』で感じた"役者としての成長"「毎回の舞台にのめり込めるようになった」
俳優

舞台『大誘拐』が、2024年の初演からわずか1年で早くも再始動が決定。紀州を舞台に、誘拐犯と資産家の老婦人が繰り広げる痛快ドタバタ劇は、白石加代子、柴田理恵、風間杜夫という日本演劇界を代表する名優たちが織りなす豪華競演でも大きな話題を呼んだ。そんな大ベテランに囲まれ、犯人グループのリーダー・戸並健次役を再び演じるのが中山優馬だ。
今回のインタビューでは、早くも実現した再始動への思い、初演の時に肌で感じた作品のパワー、共演者たちの"すごさ"、そして健次という人物へのアプローチまでを語ってもらった。さらに、少人数芝居ならではの緊張感や、ハプニングも楽しむ舞台ならではの醍醐味、長丁場を走り抜けるための体力作りについてもたっぷりと聞いた。

――2024年に初演された舞台『大誘拐』が早くも再始動されることになりました。再始動決定の知らせを受けたときの率直なお気持ちから聞かせてください
「本当にめちゃくちゃ嬉しかったです。初演のときから、『もっとやりたい、もっとこの世界に浸っていたい』という気持ちが強くて。公演期間中も、先輩方と楽屋や食事の席で『これ、再演できたら最高だよね』と話していたくらいなんです。だからこそ、こんなに早く現実になるとは思っていなくて、驚きと同時にワクワクがこみ上げました」
――初演の段階で、作品に対して大きな手応えを感じられていたんですね
「そうですね。自分の芝居に関する手応えというよりも、この作品自体が持つ力を強く感じていました。舞台上で、大ベテランの3人がドタバタ劇を全力で展開し、それにお客さんがどんどん巻き込まれていく。その空気感の変化を、袖から見ていてもはっきりとわかるんです。出演していない場面でも、ずっと舞台袖で見ていたくなる。それくらいパワーのある芝居でした」

――袖からでも見たくなる芝居って、なかなかないですよね。では、大ベテランのみなさんそれぞれに感じたすごさはありますか?
「白石さんは圧倒的な声の力と存在感、そして生き様。一言しゃべるだけで飲み込まれるようなパワーがあります。最初の"大誘拐"の一言で、空気がガラッと変わるんです。柴田さんは強烈なキャラクターを次々と切り替える器用さがあって、それを全部間違いなくこなせる。でもご本人は"私は不器用"っておっしゃるんです。その愚直さで稽古を重ねる姿勢に感服しました。演劇好きで探求心旺盛なところは、まるで少女のようで、風間さんを質問攻めにしている姿を見て、とても刺激を受けました。風間さんは、何を考えているのかわからない自由さが魅力。真面目な役をやっていても笑いが生まれる瞬間があって、それが計算なのか素なのかわからない。セリフも毎回違うのに、芝居として成立してしまうのがすごいです。その場の空気や感情を優先して言葉を紡ぐスリリングさは、本当に真似できません」
――演じる戸並健次は、犯人グループのリーダーでありながら憎めないキャラクターです。中山さんはどんな人物像として捉えていますか?
「すごく人間らしくて、愛情深い人ですね。もちろんダメなところもあって、お金持ちからお金を奪うという選択をしてしまうんですが、それもどこか素直で、悪意だけではない。最初は1,000万円を要求するつもりだったのが、おばあちゃんとのやり取りを通じて情が移り、最終的には100億円というとんでもない計画に変わっていく。その過程が彼の魅力だと思います」
――演じる上で、健次に共感できる部分はありますか?
「周囲の意見を素直に受け入れて行動するところですね。おばあちゃんの意見を取り入れながら物事を進めていく。その姿勢は、役者の仕事にも通じます。自分一人では成立しない世界だからこそ、スタッフや共演者の存在が不可欠。その感覚はすごく理解できますし、演じていても感情移入しやすい部分です」
公演情報
『大誘拐』~四人で大スペクタクル~
原作:『大誘拐』天藤真(創元推理文庫刊)
上演台本・演出:笹部博司
ステージング:小野寺修二
出演:中山優馬、柴田理恵、風間杜夫、白石加代子
<東京公演>
日時:2025年10月10日(金)~10月13日(月・祝)
場所:シアター1010
他、香川、鳥取、岡山、山形、帯広、札幌、大阪、愛知、石川、秋田、新潟、長野、神奈川公演あり
衣装お問い合わせ番号
・Sian PR(03-6662-5525)
・Dr.Martens AirWair Japan(0120-66-1460)
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