
7月31日から配信されたNetflixシリーズ「グラスハート」では圧倒的なカリスマ性を放ち、12月スタートのNHK放送100周年ドラマ「火星の女王」では100年後を生きる青年の葛藤を表現するなど、多彩なジャンルで観る者の心に刺さる演技を披露している菅田将暉。
「この人が出ているなら観たい」と思わせてくれる役者の筆頭とも言える存在となった彼が、「CURE」(1997年)、「スパイの妻」(2020年)など世界にその名を轟かせる巨匠・黒沢清監督と初タッグを組んで熱演を見せたのが「Cloud クラウド」(2024年)だ。
9月28日(日)にWOWOWシネマで放送される本作は、黒沢清が監督、脚本を務めた戦慄のサスペンスリラー。菅田が演じたのは、町工場に勤める傍ら、安値で仕入れたさまざまな商品をネットで高く売りさばいて利ざやを稼ぐ"転売ヤー"の吉井だ。
ある日、吉井は勤務先の社長から管理職への昇進を打診されるが、その話を断わると退職し、転売業一本に絞ることを決意。郊外の湖畔に事務所兼自宅を借りた吉井は、恋人の秋子と共にそこに移り住み、新たな生活をスタートさせる。しかし、商売が軌道に乗りかけた頃、彼の周囲で不審な出来事が相次ぐようになる。

(C)2024「Cloud」製作委員会
"転売ヤー"として真面目に働く吉井だが、彼が知らず知らずのうちにバラ撒いた憎悪は、誹謗中傷やフェイクニュースなどネット社会の闇を吸ってぐんぐん成長。次第に実態を持った不特定多数の"集団狂気"へと姿を変え、暴走していく。
前半はサスペンスフルに吉井の裏側に迫り、集団狂気が爆発するクライマックスは、ガンアクションとして表現。ジャンルを見事に変容させていきながらも、誰もが静かに狂っていく様子を淡々と、ドライに見つめていく。この肌触りがなんとも不気味で、それでいて観客に「すぐそばで起こりうることだ」というリアリティを感じさせてしまうのが、黒沢監督のすごいところ。本作は第97回アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表作品に選出されるなど、その手腕は国際的な評価を獲得している。
放送情報【スカパー!】
Cloud クラウド
放送日時:2025年9月28日(日)21:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
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