「チ。―地球の運動について―」で知られる漫画家・魚豊の連載デビュー作「ひゃくえむ。」がアニメーション映画化される。
同作は、陸上競技の世界で「100m」という一瞬の輝きに魅せられた者たちの狂気と情熱を描いたスポーツ漫画。生まれつき足が速く、友達も居場所も当たり前のように手に入れてきたトガシと、つらい現実を忘れるためがむしゃらに走り続けていた転校生の小宮の半生を描いた物語だ。
今回はトガシの声を演じた松坂桃李にインタビュー。本作と絡めた松坂自身の経験についてたっぷりと語ってもらった。
――完成作を見た感想を教えてください
「大興奮でした。アドレナリンがしばらく収まらなかったです。僕自身は100mを走った経験が学校の体育祭ぐらいしかないのですが、とても共感してしまって。どうしてこんなに心打たれるんだろうと思いました。100mのスプリンターたちの懸ける思いは、きっといろんな職種の人たちから共感を得ることができると思います」
――確かに、陸上をやっている人以外にも共感できる内容でしたね
「やったことないのに"わかる"と思うんです(笑)。不思議ですよね」
――特に共感したシーンは?
「とあるシーンで、この競技に"人生なんてくれてやればいい"と言うセリフが出てくるのですが、自分が今、目の前で取り組んでいることや、これから挑戦しようと思っていることに対して、鼓舞してくれるような、メッセージが込められている感じがしました。僕ら役者陣も、リハーサル、テスト、本番を重ねて、現場に入る前の役作りも含めたら何カ月もかけて取り組むのですが、本番はほんの数秒で、その時だけ本物になれればいいと思っているので、一瞬の輝きのために人生を捨ててもいいぐらいの覚悟と気概に、心が打たれたんだと思います」
――では、松坂さんにとっては、走ること=演技をすること、と同じ捉え方をされた?
「仕事柄、そういう風に感じました。"用意、ドン!"からゴールまでのあの一瞬と、監督の"用意、スタート"からカットまでのほんの数秒をリンクさせながら読んでいました」
――松坂さん演じるトガシは、高校生の姿と社会人の姿が登場しますが、声の印象も変えて演じられましたか?
「そうですね。悩みだったり、吹っ切れ方だったり、それによって、声のトーンや張りが場面ごとに変わってきたりするので、都度監督と相談しながら、出来る限り自分の中で表現しました。大人になった時は、ちょっと俯瞰しているような印象が声に反映できればと思いました」
映画情報
劇場アニメ『ひゃくえむ。』
2025年9月19日(金)全国公開
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