「常に自問自答を繰り返すだけ」松坂桃李の期待との向き合い方は?劇場アニメ『ひゃくえむ。』インタビュー
俳優
――役については、どう捉えましたか?
「トガシは足が生まれつき速い天才肌ですが、だんだん限界が見えてきて、彼の中で壁にぶち当たって、挫折して、もう一回奮起して...というところに、本人にしか分からない孤独感を感じました。役者という仕事も、現場でいろんな共演者やスタッフさん達と1つの作品を作り上げるために協力しますが、現場が終わったら、また次のところに行って、その方たちとはもうお別れなので。究極、やっぱり1人なんです。その孤独感と近いものが、トガシにはあると思いました。周りから期待されればされるほど、プレッシャーは計り知れないものがあるだろうなと」
――期待との向き合い方とのことですが、松坂さん自身はどういう風に乗り越えられてきましたか?
「プレッシャーと自分との戦いだと思います。自分の中で"よし、頑張ろう!"と心から思える時もあれば、ネガティブになって向き合いきれない自分がいる時もあって、結局自分の敵は大体自分なんだと毎回思います。そう考えると、僕自身は期待も不安もどちらもあるので、常に乗り越えられているのかはわからないです」
――先ほど松坂さんもおっしゃっていましたが、準備を積み重ねても、本番が一瞬であることのもどかしさも感じました
「そうなんですよね。以前、仕事が忙しい時期に肺炎になってしまったんです。お医者さんに"なんでここまで放置してたんだ!すぐに入院です!"と怒られて、10日ぐらいスケジュールが白紙になってしまって ...多くのスタッフの方や、共演者の方に迷惑をかけてしまったと、すごく後悔したんです。あの経験があるからこそ、より目の前の仕事を大事に、自分の中に落とし込めるようになりました」
――トガシや、本作のキャラクターを見ていて、好きなことを極めていくほど、好きかどうかわからなくなる瞬間があると感じました。松坂さんはどのように好きでい続けようとしていますか?
「好きなことを仕事にすると、好きでいられなくなる瞬間は絶対やってくるので、好きであり続けるための努力は自分でしなければいけないと常々思っています。そして、好きであり続けるためには、最終的にはやるしかないと腹をくくって、仕事に向かうことかなと思っています。本番でベストパフォーマンスができても、できなくても、それは自分が積み重ねてきた努力や、向き合ってきた結果だと思って、受け入れるようにしています」
取材・文・撮影=於ありさ
ヘアメイク=AZUMA(M-rep by MONDO artist-group)
スタイリスト=猪塚慶太
映画情報
劇場アニメ『ひゃくえむ。』
2025年9月19日(金)全国公開
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