2024年10月25日に劇場公開された映画「八犬伝」。主人公・滝沢馬琴役の役所広司を筆頭に、豪華俳優が多数顔を揃えた本作のキャスティングが大きな話題を呼んだ。馬琴の友人・葛飾北斎は内野聖陽が務め、二大名優の共演が実現。さらに、磯村勇斗、黒木華、寺島しのぶ、土屋太鳳、栗山千明、河合優実ら名実ともに優れたキャストも集結した。

公開からおよそ1年が経つ10月4日(土)にＷＯＷＯＷシネマで放送される本作は、虚構と実話が交錯する前代未聞のエンターテイメント大作。監督・脚本を務める曽利文彦が、日本ファンタジーの原点「南総里見八犬伝」を背景にした山田風太郎の同名小説を実写映画化した。

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里見家にかけられた呪いを解くため、運命に引き寄せられた8人の若き剣士たちの戦いをダイナミックなVFXで描く「八犬伝」の物語の"虚"パート。物語の生みの親である戯作者・滝沢馬琴の創作の真髄、28年に及ぶ歳月の中で生まれた奇跡の実話を描く"実"パート。馬琴が描く物語と実際に生きる現実、2つの世界がシンクロし、虚実が入り乱れながら躍動する。

役所が演じるのは、江戸時代の人気作家・滝沢(曲亭)馬琴。親友の絵師・葛飾北斎に、構想中の「八犬伝」を語り始める。壮大で奇怪な物語に夢中になった北斎は、馬琴の家を度々訪れては構想の続きを聞いて下絵を描く。その絵がまた創作の刺激となり、物語は人気を集めて異例の長期連載へと突入していく...。

勧善懲悪物語は古いと言われながらも、馬琴は自らの正義を物語に託して愚直に筆を走らせる。クライマックスに差し掛かる頃には失明してしまうが、それでもなお口述筆記で書き続け、106冊という超大作を完成させた。その執念、正義に燃える心を、役所が魂を込めて熱演する。

一方で、歴史的な偉業を成し遂げた偉人としてだけではなく、ただ一人の人間であった生真面目で偏屈な馬琴もリアリティをもって繊細に演じた。元武家ゆえの悲願や夫・父親としての苦悩、虚実の狭間で、もがき苦しみながら生き抜いた馬琴と役所が重なる。

そんな彼の一番信頼する友人で浮世絵師の北斎を内野が演じる。馬琴の戯作の挿絵を何作も手掛けてきたが、新しい「八犬伝」の物語に瞳を輝かせ、たちまち魅了されてしまう。苦悩する作家のもとへ嵐のごとく現れては、一風吹かせて颯爽と帰っていく...。豪胆で破天荒、風変わりな天才・画狂老人を、内野が魅力的に見せる。

名優2人の絶妙な掛け合いは、生きた舞台を見ているかのようだ。対照的な性格ながら、互いの才能を認め、理解し合う唯一無二の友である馬琴と北斎。気心の知れた2人の間には、親しみが込められた自然な空気が漂い、強い絆とバディ感が心地良い。