
本作で北村が演じている赤峰は、正義感の強い弁護士。かつて所属していた弁護士事務所で、権力による圧力が原因となって傷害事件の被疑者の無罪を証明できなかったことを今でも悔やみ、いつかは解決したいと思っている。そんな事情もあって、"罪を犯した人間でも無罪にする"というような明墨のやり方には不信感を募らせるものの、一方で明墨が事件関係者たちの不正を暴いていることも事実。明墨の行動は正義なのか悪なのか、彼の近くで働き続けることで答えを見つけようと決意するのだ。
そんな赤峰の若手弁護士ならではの青臭さを、北村はしっかりと体現している。赤峰は明墨が冤罪事件を解決したのを見て彼に憧れ、明墨法律事務所の門を叩き、晴れて同事務所の一員となったわけだが、すぐに"殺人犯をも無罪にする"という明墨のやり方を知ることになる。明墨が無罪に導いた被疑者が釈放後すぐに犯罪の証拠を隠蔽する場面を目の当たりにした時には、赤峰の瞳の奥に動揺に揺れ、サッと血の気が引いていくのがわかる。しかし、その後すぐさま明墨のもとに走り、物怖じもせずに正義について問うという、芯の太さも持ち合わせている。赤峰と明墨が対峙する時の北村と長谷川の間に流れる緊迫した空気には、思わず息を呑んでしまうことだろう。
北村の眼差しの演技は印象的で、その力強さからは赤峰の弁護士としての使命感や真っすぐさが、一方でその揺らぎからは赤峰の青さや危うさが伝わってくる。赤峰の中にある強さと未熟さを北村が絶妙なバランスで演じているからこそ、赤峰の存在は視聴者視点でも身近に感じられ、作品の世界に引き込んでくれる役割を果たしている。そして、そんな赤峰が明墨法律事務所で働くことによって弁護士として成長を遂げ、チームの立派な一員としてハマっていく姿にも注目だ。
正義感が強いがゆえに行動力も凄まじく、それによって明墨の身辺や過去を探る赤峰。そんな彼の視点を通して、とある事件の存在と明墨の過去が徐々に明かされていく。長谷川は持ち前の独特な空気感で明墨を演じており、ダークヒーローとして鮮烈な存在感を放っている。明墨と赤峰、一見すると異なる種類の正義感を持ち合わせる2人。
"アンチな弁護士"明墨の真の目的は何なのか。長谷川と北村の共演にも注目しながら、その結末を見届けてほしい。
文=HOMINIS編集部
放送情報【スカパー!】
アンチヒーロー
放送日時:2025年9月20日(土)11:00~全話一挙放送
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
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