二面性のある大泉洋に惹きつけられる...松雪泰子とのセリフのかけ合い、大泉を慕う後輩役の田中圭にも注目「連続ドラマW 地の塩」
俳優
(C)2014 WOWOW INC.
野木亜紀子が脚本を手掛けた主演ドラマ「ちょっとだけエスパー」が放映中の大泉洋。マルチな活躍で知られる大泉が主演を務め、松雪泰子、田中圭、田辺誠一、板尾創路、陣内孝則らと共演した全4話のヒューマンミステリー「連続ドラマW 地の塩」(2014年)がWOWOWプラスで放映される。
ちなみに当時の大泉は映画「青天の霹靂」に主演し、北海道の特別「福」知事に就任したばかり。ドラマ「東京タラレバ娘」や「おっさんずラブ」で人気がブレイクする前の田中が脇役として出演し、WOWOWドラマ初出演の松雪がヒロイン役を演じている。
井上由美子脚本のオリジナルストーリーによる本作で大泉が演じているのは"神の手"の異名を持つ考古学者でありながら、捏造を疑われた神村賢作。シリアス、ホームドラマ、コメディまで幅広い役を演じている大泉だが、表と裏の顔を使い分ける役柄は珍しいのではないだろうか。考古学一筋で生きてきた神村を尊敬する助手、馬場を演じた田中、神村の熱意に心惹かれ、歴史教科書への掲載に尽力する正義感の強い佐久間里奈を演じた松雪。3人の変化していく心模様、その演技に注目したい。
■大泉演じる考古学者の存在自体もミステリー
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3年前に山梨県の塩名町で前期旧石器時代の石器を発掘した神村は過疎化していた町の復興にも貢献し、一躍"時の人"に。メディアでも「神の手」を持つ男として取り上げられるほどの有名人だ。
そんな神村の先輩で、嫉妬に近い感情を抱きながら今は文部科学省史料保存庁・次長のポジションについているのが沢渡善三(陣内)。神村と沢渡の師匠に当たり、日本に前期旧石器時代は存在したという説を唱え続けていたのが病に倒れてしまう日本考古学連盟名誉会長、桧山(津嘉山正種)だ。
「土から掘り出したものの声を聞くのは私の義務なんです」と語る神村は講演会などのスピーチもユーモアを交えて盛り上げ、考古学者にして多くの人を惹きつけるスター性も合わせ持っている。教科書にその功績を載せるべく動いた編集者の佐久間(松雪)も神村がロマンを語る姿に心動かされるが、同じ考古学者から神村の発掘物は「捏造」だと聞かされ、真実を知りたいと思うようになっていく。
情熱を雄弁に語るピュアな考古学者のダブルフェイスを緻密な芝居で見せる大泉。第1話で「神の手」と形容されている自分の手を何度も入念に洗うシーンが視聴者にもかすかな違和感を抱かせる。
■松雪と大泉のシリアスな芝居の応酬、田中が目線で物語る演技
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ある日、神村は発掘作業の最中に人骨を発見し、警察に連絡。神村の見立てから未解決になっていた13年前の殺人事件の被害者かもしれないと踏んだ刑事・行永太一(田辺誠一)は遺族を訪ね、捜査を再開する。
サイコキラーによる殺人と、神村の真意が見えないまま、物語は複雑に絡み合いながら進んでいく。町の人々を笑顔にさせてくれた神村を信じたい想いと子供たちが読む教科書に偽りがあってはならないという狭間に立たされた佐久間。二人の信念が激しくぶつかり合うシーンは大泉と松雪の緊迫感あふれる演技が見どころだ。
そして、素朴で笑顔がチャーミングな馬場を演じた田中は長年、信じてついてきた神村への忠誠が曇ったことを視線ひとつで雄弁に物語る。考古学や政治を背景に「正義」について考えさせられる本作、白と黒の間を行き来する大泉の表情と苦悩はストーリーが後半に向かうに連れてリアリティを増し、終盤の長台詞でクライマックスを迎える。
文=山本弘子
放送情報【スカパー!】
連続ドラマW 地の塩(全4話)
放送日時:2025年11月22日(土)9:30~
放送チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
出演:大泉洋、松雪泰子 田中圭 田辺誠一 陣内孝則 他
※放送スケジュールは変更になる場合があります。
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