(C)1977松竹株式会社
映画「武士の一分」(2006年)以来、19年ぶりに木村拓哉とタッグを組んだ映画「TOKYOタクシー」(2025年)が公開中の山田洋次監督。山田監督といえば渥美清主演の「男はつらいよ」シリーズや映画「息子」(1991年)、映画「学校」シリーズ、映画「たそがれ清兵衛」(2002年)、映画「キネマの神様」(2021年)など、代表作は枚挙にいとまがないが、中でも外せない作品が映画「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)だ。衛星劇場で放送される。
同作品は、1971年に「ニューヨーク・ポスト」紙に掲載されたピート・ハミルのコラムを基に山田監督が高倉健主演で映画化したもので、雄大な北海道を舞台に、刑期を終えた中年男と若い男女が出会い、それぞれの愛を獲得するまでを描いた日本のロード・ムービーの金字塔。「第1回日本アカデミー賞」では、最優秀作品賞をはじめ、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀主演男優賞、最優秀助演男優賞、最優秀助演女優賞の6冠を獲得したほか、「第51回キネマ旬報賞」「第32回毎日映画コンクール」など数多くの賞を受賞した。
失恋してヤケになった欽也(武田鉄矢)は、勤めていた工場を退職。その退職金で新車を購入し、失恋の傷を癒すために車を携えフェリーで北海道にやってくる。釧路から網走にやってきた欽也は、駅前で片っ端から女性に声をかけていき、職場で恋人を同僚に取られて東京から一人傷心旅行に来ていた朱美(桃井かおり)をナンパすることに成功。欽也の車でドライブを始めた2人は海岸を訪れ、そこで出会った刑期を終えたばかりの勇作(高倉)に写真を撮ってもらう。その縁で、3人旅を始める――というストーリー。
それぞれ心に傷を負った3人がひょんなことから出会い、日常から離れた環境で、時に力を合わせ、時にいがみ合いながら、さまざまなトラブルを乗り越えて心を通わせていくロード・ムービーの醍醐味に加え、山田監督が作り上げるコミカルとシリアスの絶妙な配合からなる脚本と演出など、同作品の魅力を挙げるとキリがないのだが、その中でもやはり特筆すべきは役者陣の演技だろう。
■当時任侠映画に多く出演していた高倉は今作でイメージを覆した
(C)1977松竹株式会社
殺人を犯して服役していた勇作を演じる高倉は当時、「日本侠客伝」シリーズ、「網走番外地」シリーズ、「昭和残侠伝」シリーズなど、自身の人気を決定付けたヤクザ役のイメージからの脱却を模索しており、前科者ではあるが別れた妻に対して一途な思いを抱く不器用な勇作を熱演。せりふに頼らない雄弁な感情表現で、役柄とは裏腹な繊細な演技を見せている。
有名過ぎるシーンを挙げて恐縮だが、やはり出所した直後に立ち寄った定食屋で久しぶりのビールを味わう演技は本当にすばらしい。ビールが入った小さいグラスを両手で抱えるようにして持ち、瞬きせずに口に運んで一気に飲み干す。飲み終わった後は、ビールが体に染み込んでいく感覚を体で感じながら大きな息をつく...。このワンシーンだけで、勇作が長期間ビールの飲めない環境下にあったことが語られ、後に明らかになる"服役していたこと"への伏線にもなっている。
また、勇作の妻・光枝を演じる倍賞千恵子は山田作品の常連で、同作ではほとんど勇作の回想シーンでの登場となるのだが、勇作との馴れ初め、結婚したての幸せな時期、流産してしまった悲しい場面など、回想シーンという"ぶつ切り&短い時間"の中で、一人の女性の心情の移り変わりをグラデーションで幅広く表現。そして、約6年の時を経て勇作と再会した瞬間の表情...!これはぜひ本編で刮目していただきたい。
■同作が初出演だった武田鉄矢は欽也をコミカルに好演
放送情報
幸福の黄色いハンカチ 4Kデジタル修復版
放送日時:2025年12月6日(土)8:00~
放送チャンネル:衛星劇場(スカパー!)
出演:高倉健、倍賞千恵子、武田鉄矢、桃井かおり、渥美清
※放送スケジュールは変更になる場合があります。
詳しくは
こちら










