上質な大人のドラマを数多く輩出する"TBS日曜劇場"枠の、12月14日に最終回を迎えた「ザ・ロイヤルファミリー」で初出演を果たしたSnow Manの目黒蓮。静かな中にも鋭さを感じさせる演技で、表現力の幅を見せつけた。俳優として飛躍するきっかけとなったドラマ「silent」(2022年)でも、"静の演技で空気を変える力"が光っていた目黒だが、彼の"言わずに伝える芝居"はやはり強力な武器といえる。

一方で、その対極とも言える"破天荒なキャラクター"で新たな魅力を開花させたのが、2023年7月期のTBS金曜ドラマに始まり、2025年2月に劇場版が公開された「トリリオンゲーム」だ。

目黒が演じるのは、常識を度外視した得意のハッタリと類まれなるコミュニケーション能力で、ゼロから大富豪へと成り上がる"通称・ハル"こと天王寺陽。凄腕エンジニアの"通称・ガク"こと平学(佐野勇斗)と共に、"トリリオンゲーム社"を率いてきたハルは、ドラマ最終回でライバル企業を買収。その続きを完全オリジナルストーリーとして描く劇場版では、日本有数のトップ企業家となった2人が、新事業として日本初のカジノリゾート開発に乗り出し、1兆(トリリオン)ドルを稼ぐため"世界一のカジノ王"に挑んでいく。

これまで演じてきた役柄のイメージを大きく覆すハルは、スクリーンでも実に豪快だ。軽やかなセリフ運びと含みのある表情、スピーディーな身体表現で目黒はハルの"人たらし"の才能を見せつける。

劇場版では"敵"の規模感がスケールアップし、ハルが相対する世界の重みも増すが、カジノ王のウルフ・リーに扮した石橋凌ら、重厚感あるベテラン勢とも対峙しつつ大胆不敵なキャラクターを体現。タキシード姿でカジノの華やかな場に現れるハルのビジュアルはひときわ印象的で、緊張感の中に滲む覚悟や、巨額の大勝負を前にした表情の揺らぎまでも繊細に表現している。