今年も活躍を見せた神尾楓珠桜田ひよりの共演!令和と平成の2つの恋が交錯する映画「大きな玉ねぎの下で」

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「大きな玉ねぎの下で」 (C)2024 映画「大きな玉ねぎの下で」製作委員会
「大きな玉ねぎの下で」 (C)2024 映画「大きな玉ねぎの下で」製作委員会

2025年に俳優デビュー10周年を迎えた神尾楓珠。どこか影のある佇まいも魅力的で、繊細な感情表現のできる役者として見る者の心を掴んでいる。葵わかなとダブル主演を務めた「すべての恋が終わるとしても」(2025年)では一途な恋を体現して鮮烈な印象を残し、「はぐれ鴉」(2025年)では本格時代劇に初挑戦するなど、ますます活躍の場を広げている。

そんな神尾が、桜田ひよりとダブル主演を果たしたのが「大きな玉ねぎの下で」だ。1月18日(日)にWOWOWシネマで放送される本作は、爆風スランプによる大ヒット曲「大きな玉ねぎの下で~はるかなる想い」をモチーフに、令和と平成2つの恋が交錯していくラブストーリーとなっている。

■「大きな玉ねぎの下で」神尾×桜田のインタビューはこちら

夜はバー、昼はカフェになる店でそれぞれ働いている丈流(神尾)と美優(桜田)。"夜の人"と"昼の人"を繋ぐのは、連絡用のバイトノート。最初は業務連絡だけだったが、次第に趣味や悩みも綴るようになり、丈流と美優は会ったことがないからこそ素直な気持ちを打ち明けられていた。しかし、実は2人は顔見知り。しかも、まったくそりが合わず関係は最悪。お互いの素性を知らないまま、2人は大きな玉ねぎの下(=武道館)で初めて出会う約束するが...。

■豊かな奥行きや人間の持つ光と影を感じさせる神尾楓珠の演技

神尾が演じる丈流は、就職活動に臨みながらもぼんやりとした不安に包まれている若者だ。心なしか冷めた目で人生を見つめつつも、何をしたいのか分からない、一生懸命になれない自分を「ダサい」と自覚している丈流。神尾は、決して大袈裟にすることなく、リアリティあふれるものとして、憂いを帯びた瞳にも丈流の葛藤をにじませている。

一方でバイトノートを通した"文通相手"の助けになりたいと奔走する笑顔や瞳の奥は、優しさに満ちている。人間には表面では分からない、その人の悲しみや寂しさがあるものだが、重い病を抱えた母のいる丈流は、幼い頃から心配をかけないように気遣ったり、いろいろな我慢をしてきたはずだ。神尾の演技には、そんな丈流の生い立ちも想像させてくれるような豊かな奥行きがあり、人間の持つ光と影を感じさせてくれる。

■桜田ひよりが素直でチャーミングな性質を自然体の演技で表現

美優役を担った桜田もとても魅力的だ。2025年10月期のドラマの中でも大きな反響を呼んだドラマ「ESCAPE それは誘拐のはずだった」では、ダブル主演の佐野勇斗と息の合った演技合戦を繰り広げ、視聴者を釘付けにした。

本作では、看護師になる夢に向かって体当たりで突き進んでいるキャラクターを好演。天真爛漫、猪突猛進。命を預かる仕事をしていくことにもちろん悩みもあり、覚悟の追いつかない自分にもどかしさを感じている美優だが、桜田は美優の素直でチャーミングな性質を自然体の演技で表現している。

バイトノートの"文通相手"とは知らず、リアルで顔を合わせると喧嘩ばかりしてしまう丈流と美優が、ぶつかりながらも心を開いていく様子は実にさわやか。また令和と平成という2つの時代が結びついていく伏線も見事で、名曲の歌詞とリンクしながら、点と点が線となっていく過程も面白い。

そこで浮き彫りになるのは、誰かを想う気持ちを文字にする、温かさ。自分の想いを伝えようとする、まっすぐさ。いつの時代も胸を打つ、普遍的なメッセージが込められた1作となっている。

文=成田おり枝

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