高石あかりが静けさを纏いながら演じた、大人っぽさと少女らしさが共存する17歳の存在感が圧巻!オダギリジョー、松たか子と共演した「夏の砂の上」
俳優
(C) 2025映画『夏の砂の上』製作委員会
全編長崎ロケで、演技派俳優陣が集結した本作でも、高石の存在感が光っている。オダギリ演じる治には、"不慮の事故による息子の死"、"仕事を失くす"、"別居中の妻の不倫"と立て続けに不運な出来事が立て続けに起こり、その後もたびたび苦難の局面に差し掛かる。そんな中でも、静かに、ふらふらと過ごす治だったが、彼を取り巻く環境は何やら騒がしい。突然の妹の訪問をきっかけに、姪との同居生活が始まる。
その姪・優子を演じているのが高石だ。優子は感情を爆発させたり、自身の心情を雄弁に語るタイプではない。しかし、高石のまなざしには、母親と離れ、慣れない長崎の地で暮らす優子の心の声が、しっかりと映し出されているように思う。立山に想いを寄せられ、ともに過ごす時間が多くなるものの、なかなか心を開いている様子は伺えず...。クールに振る舞ってはいるものの、その心にはどこか空虚の部分があることを思わせる、高石の演技が見事だ。そして治と恵子が揉めているところに鉢合わせた時には、声のトーンに動揺が滲み、不安な表情を滲ませる。しかし、恵子が何事もなかったように振る舞うと、それに合わせるかのように冷静に応対する...。大人っぽさと少女らしさが共存する17歳の優子を、瑞々しい透明感を携えて演じている。
物語の後半、治と優子がぶつかり合うシーンのオダギリとの掛け合いも見事。それまで不運の中でもなんとなく日常をやり過ごしていた治と、静かに漂っていた優子の感情がぶわっと解き放たれるかのような瞬間に、注目してほしい。
治と優子を演じるオダギリと高石を中心にしながらも、松や満島、高橋と、俳優陣それぞれの名演が、物語を織りなしている本作。そんな中で確かな存在感を放つ高石の演技を、ぜひ観ていただきたい。
文=HOMINIS編集部









