「あんたが」「10DANCE」で話題沸騰、竹内涼真の主演作のひとつ!ゾンビサバイバルと人間ドラマを掛け合わせた「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」

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(C)2024「君と世界が終わる日に」製作委員会

劇場版は、自動車整備工だった響が来美と浜辺で未来について話している場面から始まる。プロポーズするために婚約指輪を隠し持っていた響だったが、あるカップルが動かなくなった車の前で立ち往生していたことから、2人に手を貸すことになる。ためらいがちに言葉を選びながら間をおいて喋る響は、短気ではあるが、勝男に近い不器用さを感じさせる青年。響の助言に逆ギレして突っかかるカップルの男が、後に響と再会して戦うことになる大和。このイントロダクションから時間は流れ、再び姿を表す響は、大和が同一人物だと気づかないほど変貌している。ゴーレムたちで荒廃した街にそびえ立つ2つのタワーの一方に住んでいるのは、元政治家や資産家の権力者たち。もう1つのタワーでは、科学者たちがゴーレムの増殖を止めるワクチン開発に取り組んでいる。そんな背景の中、ゴーレムからの避難場所と呼ばれる地下空間で葵を必死で探している大和は、爆薬を使ってタワーに侵入しようとする響に出会う。醸し出す迫力、眼光の鋭さ、喋り方はサバイブしてきた戦闘士以外の何者でもない。打ちひしがれた者に「どんな未来が待っていても生きろ!」と伝え、守るべきもののために何かを捨ててきた主人公を演じる竹内の鬼気迫る演技に釘付けになる。

■響のたったひとつの希望は娘...向ける瞳に切なさが滲む

劇場版ならではのスケール感とアクションシーンは本作の醍醐味だが、究極の状況の中での人間ドラマも見どころだ。戦闘員やゴーレムたちとの戦いの末、研究室にたどり着いた響たちが見たのは、ワクチンの実験台にされた男。変わり果て、苦しみながらも死ねない男に、響はある決断を下す。この男を演じているのが、本作の主題歌も担当している菅田将暉だ。そして、人類を救う"奇跡の子"として囚われていた"ミライ"とついに対面するシーンでは、驚きと愛おしさが混ざり合った瞳で我が子を見つめ、1歩ずつ近付き、娘が放った言葉に悲しさとそばにいてやれなかった悔しさで呆然とする竹内の演技があまりに切ない。

ミライのために生きて戦う覚悟をした響を演じた竹内と、葵と未来を生きるために戦う熱血な男を演じた高橋。ゾンビサバイバルを普遍的なヒューマンドラマに昇華しているのも、竹内の人間味溢れる演技が中心にあってこそ。「きみセカ」シリーズの完結編の行き着く先を、見届けてほしい。

文=山本弘子

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