杉咲花今泉(力哉)監督ならではの視点に、たまらない気持ちで脚本を読んでいます」と語る、ドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」【杉咲花×今泉力哉対談インタビュー】

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「冬のなんかさ、春のなんかね」
「冬のなんかさ、春のなんかね」

(C)日本テレビ

――今泉監督といえば、恋愛映画の名手として知られていますが、今回のドラマではどのようなテーマを描こうとされたのでしょうか?

今泉「誰かと誰かが出会って結ばれていく王道のラブストーリーではなく、もっと日常の中にある、あまり取り上げられないような、でもそれで苦しんでいる人は確実にいる『悩み』について描写したいと思いました。例えば、20代後半くらいになると『まっすぐに相手を好きになる』こと自体が難しくなってくることも...。若い頃はただ『好き』と思えていた感情が、経験を重ねることでグレーになったり、『つきあう』とか『好き』ということ自体を疑ってしまったり。なかなか好きな人ができない、恋愛がよくわからない、そんな人たちも自分を投影して見られるような話になればいいなと思いました。そもそも恋愛って、しなくてもいいものですからね」

――杉咲さんはご自身が演じる文菜にどのような魅力を感じましたか?

杉咲「文菜は、何というか、すごく寂しい人なのではないかと脚本を読んで感じました。それは時間の有限性やすべての出会いには必ず別れがつきまとう、ということに対しての感度の高さというか。そういうことから、どうしようもなく寂しい人なんじゃないかなと感じたんです。私自身もその感覚を理解できる部分がある気がするのですが、実際の自分はそこで線を引く方ではないので、文菜の悲しみは底知れなくて。今は、その根源にあるものをのぞいてみたい、そこに触れてみたいという思いです」

――今泉作品らしい会話劇ということで、台本を拝見するとセリフ量が膨大ですね

杉咲「セリフが多くて、繊細で、本当に毎日冷や汗をかいています(笑)。今泉さんの脚本なので覚悟はしていましたが、想像以上でした(笑)」

今泉「通常のドラマだと、50分枠なら50シーン、映画なら100シーン前後というのが相場ですが、今回は1話あたり25シーンくらいで構成されていて。単純計算で1シーン2分以上、1シーン10分みたいなシーンもたくさんあります。これは本当に芝居が良くないと成立しないというか、俳優に力がないと成り立たない脚本になってしまいました」

――最初に本読みをした際は、いかがでしたか?

今泉「杉咲さんの声のトーンや芝居の温度を想像しながら脚本を書くわけですが、本読みの時点で既に2ケ所くらい『このセリフ、こんな言い方するんだ』『こんなに面白くなるの?』って驚かされる瞬間があって。その発し方ひとつで色が変わる。本読みに立ち会っていたスタッフも含めて笑いが起きたり、感動したり。杉咲さんに『すごいですね』と伝えたら、笑いながら『本番で同じことはもうできないかもです(笑)』って言っていました」

杉咲「あはは(笑)。本読みって、衣装も着ていなければメイクもしていない、半分『素』みたいな状態で台詞を話すので、不思議な感覚なんです。毎度のことながら、すごくすごく緊張しましたが、本読みを経て、この物語のもつ温度に触れられたような気がして。少しだけホッとしました」

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