内藤剛志が表現する、人間味あふれる十津川警部!ゲスト出演の堺正章との"演技合戦"を見逃すな!「西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ3「伊豆踊り子号殺人迷路」」

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さて、ここからが本題だ。内藤演じる十津川警部は、歴代の十津川役と比較しても、「包容力」と「人間味」を強く押し出したという印象だ。部下の西本刑事に悲劇が訪れる展開ということで、十津川は単なる捜査の指揮者というより、部下を案じる上司としての人間性が強調される。内藤が演じると、よりそれが強く感じられるのだ。

内藤の演技は声を荒げることもなく、抑制されたトーンが軸だ。低く落ち着いた声と、相手の話をじっと聞く"間"に、十津川の温かみを感じさせる。小さな表情の変化で感情をにじませる細やかな芝居は、理知的ながらも人間味のある人物像を巧みに作り上げている。一言でいえば「柔らかい」のだ。

特に印象深いのは、堺正章との"演技合戦"である。本作では犯罪心理学者との対話シーンが重要になる。香取との対話場面では、ただ情報を受け取るのではなく、香取の言葉を自分なりに咀嚼し、静かに反論や疑問を投げかける。圧倒的な明晰さを感じさせる堺の"強い芝居"に対し、受けの演技で"対等な知性"を感じさせた内藤の演技には、静かな凄みがあった。

「相棒」の杉下右京のように派手な推理を披露することはないが、慎重に言葉を選ぶような抑えた演技で、物語全体に落ち着いたリアリティを醸し出している。派手さがないことが逆にいいのだ。十津川シリーズでは、旅情が重要な要素になるが、内藤は風景の中に立ったときの佇まいが非常に自然だ。風景を"邪魔しない"のである。景色を見つめる静かな横顔と、移動中の思索的な表情。そんな内藤の佇まいが、西村京太郎作品特有のトラベルミステリーと抜群に親和性を発揮する。

今回、TBSチャンネル1で、西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ3「伊豆踊り子号殺人迷路」が放送される。派手さより「安心感」と「包容力」を感じさせ、温かい人間味を体現した内藤剛志の十津川警部には、独自の魅力がある。まさに絶品の芝居と言えるだろう。

2時間半の長尺でも疲れを感じさせず、物語を落ち着いたトーンで牽引する"軸"としての演技は見事だ。今回のオンエアにより、多くの人がその凄みを発見してもらえることを期待したい。

文=渡辺敏樹

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