集中力があり真面目で努力家。ストイックで役のことしか考えられない。俳優・藤原竜也を見出した演出家・蜷川幸雄は、彼の俳優としての資質をそう評していた。
1997年、当時15歳だった藤原は、蜷川が演出を務める舞台「身毒丸」で、5000人以上の応募者の中から主役に抜てきされ、鮮烈なデビューを飾る。「演劇の現場はいつでも人間と人間がぶつかる、生々しい修羅場だ。この修羅場はもちろん嫌なことばかりではない。喜びもまた、生々しいのだ」と語る蜷川の薫陶を受けた藤原は、時に人格を否定されるほどのダメ出しを受けるが、それでも必死に食らいついた。そんな数々の修羅場をくぐり抜けてきた経験が、俳優・藤原竜也の地力を育んできた。
舞台で培った演技力は、映画やドラマの世界でもいかんなく発揮される。特に『バトル・ロワイアル』『カイジ 人生逆転ゲーム』などの映画で見せた、過酷な運命に翻弄(ほんろう)される人物や、『デスノート』で見せた危険人物といった、極端に振り切った人物を演じた時の重厚な演技は、まさに藤原の真骨頂であろう。たとえ荒唐無稽な設定であっても、まるでシェイクスピアの演劇を見ているかのような、重厚な演技が確かな説得力をもたらしてくれる。そして、彼が振り切った演技を見せた映画は、ヒットに導かれる確率が非常に高い。それだけ彼の演技が、観客を物語の世界に没入させてくれるということなのだろう。
2017年6月に公開された映画『22年目の告白―私が殺人犯です―』も一見、荒唐無稽な物語に思われそうなサスペンスドラマだが、藤原の演技力に引き込まれ、非常に見応えがある作品となっている。そして同作も、2017年度邦画興行収入(日本映画製作者連盟調べ)でベストテン入りを果たす大ヒットを記録している。そんな作品で藤原が演じるのは、未解決のまま時効を迎えた連続殺人事件の犯人として突如現れた男・曾根崎雅人。時効成立まで犯人を捕まえることができなかった警察を挑発し、そして世間の注目を一身に集める曾根崎は一躍、時の人となる。アッと驚く物語展開が繰り広げられる作品だけに、詳しくは言及できないが、冷酷な連続殺人犯という面はもちろん、その中に内包された複雑な感情を見事に表現した藤原の演技は圧巻のひと言。まさに"俳優の演技を見る映画"として、強烈な印象を残している。
また、最近公開された『億男』では、怪しいマネーセミナーの教祖を怪演し、強烈なインパクトを残したほか、2017年4月期に放送されたドラマ「リバース」では、それまで見せたことがないようなさえない男を演じて、また違った印象を視聴者に植え付けたことも記憶に新しい。そんな彼がこれからどんな演技を見せてくれるのか、いっそう期待が高まる。
文=壬生智裕
放送情報
映画「億男」公開記念 超豪華キャスト大集合! 座談会SP
放送日時:2018年11月4日(日)22:30~ほか
チャンネル:日テレプラス ドラマ・アニメ・音楽ライブ
そして、誰もいなくなった 一挙放送
放送日時:2018年11月23日(金)13:00~
チャンネル:日テレプラス ドラマ・アニメ・音楽ライブ
リバース
放送日時:2018年11月24日(土)10:00~
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
22年目の告白-私が殺人犯です-
放送日時:2018年11月24日(土)21:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
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