挫折したマラソンランナーが、現実世界とパラレルワールドを並行しながら、自分の生き方を見つけていくヒューマンファンタジー映画『ふたつの昨日と僕の未来』。12月22日(土)から全国で順次公開される今作は、舞台となる愛媛県新居浜市でオールロケされた地域密着型映画だ。その主人公・海斗を演じるのは、「仮面ライダー鎧武/ガイム」で脚光を浴び、多くの話題作に出演してきた佐野岳。陸上選手を演じたドラマ「陸王」直後に、またしてもランナーを演じることになった彼に、映画に懸けた想いなどを聞いた。
今作はヒューマンドラマであり、ファンタジーでもあるんですよね。
「そうなんです。でもファンタジーとはいえ、新居浜市に実在する場所でオールロケしたので、地域の匂いがするリアリティ満載の作品になっていると思います」
クランクイン時に「海斗はダメ男です」と言っていましたが...。
「絵に描いたようなダメ男です(笑)。ケガを理由に現役を引退しましたが、マラソンしかしてこなかったからなのか...。でも、僕自身、ずっとサッカーをやってきて、ケガで大会に出られなかったことがあったので、共感できる部分もあって。家族や周囲の人々は温かく見守ってくれているんですけど、海斗はそれに気付いていない。そういうもどかしい部分を見ていると、僕もそんな時があったのかな?なんて思いました」
この映画の撮影直前までドラマ「陸王」で陸上選手を演じていたので、ランナーの気持ちも理解しやすかったのでは?
「本当にタイミングが良くて(笑)。体もできていたので、心身ともに説得力のある状態だったと思います。海斗はこれまでやってきた役のなかで、いろんな意味で浸透しやすい役でした」
リアリティを表現するうえで、「ロケ地・新居浜市」はどのような効果があったのでしょうか?
「オールロケは本当に魅力的でした。劇中に出てくるお店も全て実在するんですけど、どて焼きの『堤亭』は撮影中ずっと通っていました(笑)。ちなみに『喫茶 アルプス』は、新居浜市出身の大森(研一)監督が学生時代に実際に通っていた店だそうです。それから海斗の家も、実際に人が住んでいる民家を借りて撮影したんです。その家のおじいちゃん、おばあちゃんもすごい素敵な方々で、愛媛あったかいな〜!って思いました。地元のボランティアの方々が炊き出しを作ってくださったんですけど、2月の寒い時期に毎回温かいものをいただけたので、本当に支えられました。キャストも温かい方ばかりでしたが、スタッフや地元のボランティアの方々など、多くの方の温かさが画面に滲み出ていると思います」
今作のファンタジー部分は、別子銅山跡地で"東洋のマチュピチュ"と呼ばれる「マイントピア別子」があったからこそ、説得力のあるものになっている気がしました。
「マイントピア別子を初めて見た時は、『何だコレ⁉︎』って思いました。スピリチュアルな建物があるので、並行する"もう一つの世界"に行けてしまうことの説得力になっていますよね。ファンタジーですけど、空気感にリアリティがあるから、両方がキレイに一つになっているんだと思います。大森監督は見えるものと、見えてくるものの描き方の塩梅が上手なので、今はどっちだ?と思いながら見ていただければと思います」
パラレルワールドで現実では亡くなっているはずの父親と再会するシーンがありますが、そうした2つの世界の狭間を行き来する演技で特に意識されたポイントは?
「この映画ではびっくりした方がいいのか、しない方がいいのか...などの細かいニュアンスが大事になってくるので、そこは密に監督と話し合いました。どっちがいいのか悩んだんですけど、監督には『分からない表情でいいよ』と言われ、判断も委ねてもらえたので臆することなく演じられた気がします。海斗はパラレルワールドと現世を行き来することで、自分の深いところを知るのですが、そこを受け入れられるか否かがポイント。ご覧になる方にも自分自身と重ねながら見ていただけたら嬉しいです」
そんな海斗を現世に結びつけてくれる恋人の真里乃(相楽樹)は、本当にしっかり者ですよね。
「律してくれる人は本当に大切だなと思いました(笑)。相楽さんはしっかりした真里乃に本当にピッタリな方。共演は2度目だったので、しっかりコミュニケーションを取りながら演じることができました」
2度目といえば、「仮面ライダー鎧武/ガイム」で共演した久保田悠来さんも、真里乃の幼馴染で国会議員の黒川賢三役で出演しています。久保田さんと会うのは久しぶり?
「いえ、一緒にK-1を見に行ったり、プライベートでは結構会っていました。久保田さんってひと言で言うと、変わった人なんですよ(笑)。すごく面白いんです。『鎧武』で1年間一緒にいて気心知れている人なので、今回は芝居の委ね合いができた気がします。久保田さんと共演するので、ライダーファンの方も楽しみにしてくれているらしくて、それも嬉しいです」
また、今作を見る前に佐野と久保田が共演した、「仮面ライダー鎧武/ガイム」シリーズや映画「仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイド with レジェンドライダー」を見ておくと、さらに2人の掛け合いが面白く見えるはず。映画と併せてぜひチェックしてほしい。
文=及川静 撮影=押木良輔 メイク:富永智子 スタイリスト:菊池陽之介
出演情報
<映画情報>
『ふたつの昨日と僕の未来』
12月22日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次ロードショー
<放送情報>
仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー
放送日時:2018年12月2日(日)10:00~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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