ドロドロの人間模様、スリルに満ちた復讐や下克上、見え隠れする心の闇...。これまで多数の作品が映像化された松本清張のサスペンスには、どこかアンモラル的な"人間の業"に惹きつけられる刺激的な体験があった。そんな松本清張作品で才能を開花させたひとりが女優の米倉涼子だ。
米倉のキャリアを語るうえで、松本清張作品は欠かせない。2000年に放送された「恋の神様」のレギュラー出演以降、数多くのドラマに出演しているが、ターニングポイントになったのは"悪女"を強く印象づけた「黒革の手帖」(2004年)。巨額の金を横領し、銀座のクラブのママへとのし上がっていく"原口元子"というキャラクターは、これまでにも数々の名女優が演じてきたが、米倉が演じた元子のインパクトはすさまじかった。
事実、ビフォー・アフターで米倉の女優としてのイメージがガラッと変わったに違いない。"視聴率の女王"と呼ばれる米倉だが、その後も、「けものみち」(2006年)、「わるいやつら」(2007年)、「熱い空気」(2012年)といった松本清張作品で名だたる悪女に扮し、2月3日(日)に放送される松本清張ドラマスペシャル「疑惑」(テレビ朝日系)も控えるなど、現在も松本清張作品と寄り添いながらキャリアを重ねている。
「欲を喰らって、生きてやる。」というキャッチコピーで2014年放送の「松本清張サスペンス 強き蟻(米倉涼子主演)」も、そんな米倉の"らしさ"が詰まった作品だ。31歳年上の会社役員・信弘(橋爪功)に後妻として嫁いだ伊佐子(米倉涼子)は、信弘の資産10億円を独り占めする企みがあった。家政婦・椿サキ(かたせ梨乃)に金銭を管理され、信弘の前妻の娘・妙子(笛木優子)に罵倒されていたが、愛人・石井寛二(要潤)がある事件を起こしてしまい...。
男たちを手玉に取っていく伊佐子の非情な計略や立ち振る舞いなど、米倉は「黒革の手帖」などで体得した"悪女"にさらに磨きをかけた円熟の演技を見せている。資産のための政略結婚という打算にまみれた行動を取っていても、自身の願いを叶えようとひたすら奔走する伊佐子はどこか愛らしくもあり、憎めないキャラクターにしてしまうあたりは、さすがとしか言いようがない。
米倉主演の「松本清張サスペンス 強き蟻(米倉涼子主演)」は、ファミリー劇場の特集「【2ヶ月連続】松本清張×豪華俳優!わるすぎるやつらサスペンス20選!」にて放送される。"視聴率の女王"の原点である松本清張作品で、米倉の輝きをぜひチェックしてほしい。
文=HOMINIS編集部
放送情報
松本清張サスペンス 強き蟻(米倉涼子主演)
放送日時:2019年2月2日(土)21:00~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
詳しくはこちら