3月10日(日)の「日曜邦画劇場」(日本映画専門チャンネル)では、2017年公開の映画「君の膵臓をたべたい」を放送する。同作は、2016年の本屋大賞2位の住野よるの同名小説を実写化したもので、興行収入35億円を超えたほか、第41回日本アカデミー賞の優秀作品賞に輝き、話題賞の作品部門も受賞。さらに、出演する北村匠海、浜辺美波が新人俳優賞を獲得するなど大きな話題をさらった。
今回、北村匠海にインタビューを行い、撮影秘話や共演者について語ってもらった。
――公開から2年がたちましたが、大ヒットとなった同作品を振り返ってみて現在の心境は?
「すごく濃い2年間を過ごさせていただいたので、かなり前のような気がしますね。『ヒットしたい』というようなことはあまり考えず、ただ『良い作品になれば』という思いだけで突き進んでいたので、その発想すらなかったんです。僕にとってはいつまでも大切な作品ですし、これからも僕の中の"核"となる作品ですね」
――"僕"という役はハマり役のように見えましたが?
「("僕"という役は)あまりにも自分に近くて、役を作るというよりも自分の中にあるもので演じることができた役でした。(出演のきっかけの)オーディションでは、役について聞いた時、直感的に『自分と重なるな』と思って、マイナス思考で陰気だった中学時代の話をさせてもらったんです。撮影でもとにかくやりやすさを感じて、歩き方ひとつとっても手に取るようにイメージできて、すごく気持ちよかったです」
――演じる上で意識したところは?
「俳優として意識していることなのですが、目線の動きや息づかいといった些細な反応は自分の中でポイントにしています。大きなスクリーンだからこそ伝わるものがあると思いますし、"映画"という場所はそういうものが生きる場所だと思うので」
――クライマックスの号泣するシーンは印象的でした。
「実は、台本では『泣いてもいいですか?』という台詞の後に号泣する流れだったのですが、(役に入り込み過ぎて)先に涙が出てしまって...。(役に深く入っていたからこその迫真の演技で)監督からOKが出たのですが、その場では本当に本編で使えるのか熟考したいということで、台詞の後で泣くパターンも撮影したのですが、本編では最初の方を使っていただいていて、監督の愛を感じることができました。このシーンの撮影までは、泣く芝居にコンプレックスがあったのですが、この撮影以降どうやら涙腺が崩壊したらしく、映画とか見ていてもすぐに泣いてしまうようになっちゃいました(笑)」
――小栗旬さんと同じ役を演じることについては?
「小栗さんはとにかく僕の芝居に合わせてくださいました。左利きなのに僕に合わせて右利きにしてくれたり、"感じる芝居"か"感じさせる芝居"かというところまでも合わせてくださって!いろいろな役をやられていてあれだけふり幅が広いのに、ピンポイントで絶妙な芝居ができるのは本当にすごいなと。出来上がった作品を見た時に、おこがましいですけど、小栗さんの演じる"僕"が自分の"僕"に見えて『こんなに同一人物に見えるんだ...』って驚いたんです。背中の曲がり具合や歩き方まで一緒でした」
――初共演の浜辺美波さんとはどのような感じだったのですか?
「ずっと役柄と似た距離感を保っていましたね。僕は役と重なる中学時代のような感じでしたし、彼女の方も一見はつらつとしていながらも"死"を悟ったような大人な16歳でいてくれて、本番以外でも"近そうで遠い"距離感でした。そんな"近そうで遠い"感じが"僕"と(浜辺演じる)桜良の間にも出ていたと思います。もし、めちゃくちゃ仲が良かったら違う映画になっていたと思いますね。そんな感じで撮影を終えたので、それからお互いが(相手に)踏み込むタイミングが分からなくなってしまって、ちゃんと話したのは日本アカデミー賞の打ち上げの席でした(笑)。『やっと話せましたね』って感じでお話しさせていただいて、『美波ちゃんってけっこう面白いんだな』ってその時に知ったんです(苦笑)」
――同作品でブレークを果たし、2年の間にさまざまな役に挑戦してきたと思いますが、今後の俳優としての展望は?
「20代はもがいていたいなと思っています。たくさん失敗もすると思うし、その中で何かをつかむだろうし。そんな20代を経て、30代になった自分に期待したいなって。だから今は、女の子を振り回す役だったり、悪役だったり、いろいろな役を何でもやってみたいと思っています!」
文=原田健 撮影=中川容邦 ヘアメイク=佐鳥麻子 スタイリスト=Shinya Tokita
放送情報
日曜邦画劇場 「君の膵臓をたべたい」 【ゲスト:北村匠海】
放送日時:2019年3月10日(日)21:00~ ほか
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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