ミステリアスな松田翔太が、等身大の青年を演じる秀作ドラマに注目

松田翔太(「ここにある幸せ」より)
松田翔太(「ここにある幸せ」より)

auのCMでイケメンの桃太郎を演じ、すっかりお茶の間の人気者となった松田翔太。名優・松田優作の次男であり俳優・松田龍平の弟だが、もはやそのプロフィールは意識せず見ている人も多いのではないだろうか。端正な顔と183cmの長身、誰もが認める美男子でありつつ、怪しげな詐欺師や探偵というアウトローの役も演じ、多彩なジャンルに挑戦している。

■岡田惠和脚本の福岡を舞台にしたドラマ

宮本信子、松田翔太(「ここにある幸せ」より)

(C)NHK

そんな彼が2015年に出演した「ここにある幸せ」がホームドラマチャンネルで放送される。NHK福岡放送局発の地域ドラマとして作られた本作。「ひよっこ」(2017年)の岡田惠和が脚本を書き、松田翔太と宮本信子が共演したことでも注目された。

舞台は海沿いの古い町、福岡県福津市津屋崎。東京の家電量販店で働いていたが、仕事をこなす気力体力がなくて退職してしまった浩幸(松田)は、小学校のときの親友の故郷であった津屋崎を訪ねる。昔、親友に教えてもらった住所の家には、福子というおばあさん(宮本信子)がひとりで暮らしていて、浩幸は福子に温かく迎え入れられ、しばらくその家に滞在することになる。人生の目的が見つけられず、生きる意味を見失っていた浩幸だが、津屋崎の町をめぐりながら福子の身の上話を聞くうちに、それを文章にまとめようと思いつく。

宮本信子、松田翔太(「ここにある幸せ」より)

(C)NHK

福子は浩幸のことを「私のボーイフレンド」と紹介し、浩幸は敬愛を込めて「福子さん」と呼ぶ。そんな2人の50歳近い年齢差を感じさせない関係が微笑ましい。孫と祖母のようでもない不思議な関係で、浩幸は東京に残してきた彼女にも言えないことを福子には話すようになっていく。まるで最近ヒットしたエッセイ漫画「大家さんと僕」のように、簡単にはカテゴライズできない心の交流を丁寧に描いている。

■「花より男子」「西郷どん」などに出演してきた松田の演じる"等身大"

松田翔太(「ここにある幸せ」より)

(C)NHK

松田は出世作「花より男子」(2005年)の西門総二郎役以来、貴公子的なイメージが強く、大河ドラマでも「平清盛」(2012年)では後白河上皇、「西郷どん」(2018年)では最後の将軍となる"ひー様"こと一橋慶喜と、まさに王子様ポジションにキャスティングされてきた。

また、姿形が美しいのにちょっと抜けているようにも見え、コミカルな味も出せる。2019年に出演した「家売るオンナの逆襲」(日本テレビ系)ではそんなおかしみがあり、かつ怪しげな魅力が活かされていた。

一方、本作では、珍しくミステリアスな要素がない等身大の普通の青年役。打たれ弱いが純粋で素直な浩幸を好演している。特に福子と初めて夕ご飯を食べる場面での繊細な心理表現がすばらしく、見れば彼のイメージが変わるかもしれない。そんな短編ドラマの秀作をこの機会に見てみよう。

文=小田慶子

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放送情報

ここにある幸せ
放送日時:2019年5月29日(水)0:15~
チャンネル:ホームドラマチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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