新垣結衣が三つ編みガリ勉のヒロインに!?松田翔太主演の不良青春グラフィティ『ワルボロ』

「逃げるは恥だが役に立つ」をはじめとした話題作、人気作に数多く出演し、今や国民的な人気を誇る女優・新垣結衣。2001年から雑誌モデルとして活動した後に、その軸足を女優業にシフトした彼女は、「ドラゴン桜」「ギャルサー」「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」といったドラマで注目を集めた。そして2006年から2008年にかけて出演したCMで「ポッキーダンス」を披露し、大ブレイク。2007年の映画『恋空』では第31回日本アカデミー賞 新人俳優賞を獲得するなど、女優としても大きく飛躍した。

ちょうどそんな上昇気流に乗っていた時期に重なる2007年9月、彼女は初めての映画に出演する。その作品こそがゲッツ板谷の自伝的小説を、松田翔太の映画初主演で映画化した『ワルボロ』である。物語の舞台は、昭和50年代の東京・立川。それまでガリ勉少年だった中学生のコーちゃんが、突然ツッパリデビューを果たし、周囲の学校のワルたちとケンカに明け暮れるという、"ワルくてボロい"日々を描いた青春グラフィティだ。黒澤満プロデューサー、隅田靖監督をはじめ、ヤンキー映画の金字塔『ビー・バップ・ハイスクール』のスタッフが多数参加した本作には、主人公の叔父役に『ビー・バップ・ハイスクール』の主演を務めた仲村トオルが出演するなど、東映が得意とする不良性感度の高い映画の系譜に連なる作品として輝きを放っている。

映画『ワルボロ』の主演を務めた松田翔太(右)
映画『ワルボロ』の主演を務めた松田翔太(右)

(C)2007「ワルボロ」製作委員会

そんな本作で新垣が演じているのは、コーちゃんが淡い思いを寄せるマドンナ的存在である、優等生の山田。熱い男たちが登場するドラマの中で、クールで気丈なヒロインという役どころだが、彼女が生まれる前の時代の優等生ファッション、きっちりと結んだ三つ編みと制服姿も見どころとなっている。

ちなみに大九明子監督がメガホンをとった新垣の初主演作『恋するマドリ』の劇場公開は2007年8月だったが、撮影自体は『ワルボロ』が先で、こちらが実質的な映画初参加作品となる。当時のインタビューでも新垣は「映画はどういう風に撮影するのか分からなかったので、今回は学びの場だと思って挑みました」と語っており、「ドラマと違って1シーンにも時間をかけるんですね。カメラは1台だし、フィルムだから何回もテストをするし、かなり慎重なんだなーと思いました」と初々しいコメントを残している。一方、本作は男だらけの群像劇ということで、松田翔太を中心に城田優、福士誠治、木村了らが、みんなで意見を言い合って演技プランを構築するなど、寝ても覚めても芝居の話に没頭し、結束を固めたという男性キャスト陣。そんな男たちに囲まれて、新垣自身、撮影前は心配するところもあったというが、実際の現場では新垣がリラックスできるよう、男性キャスト陣がとても気を遣ってくれたとのことで、映画の現場を満喫することができたようだ。

(C)2007「ワルボロ」製作委員会

今の暮らしから抜け出すために、必死になって勉強に打ち込んでいた山田。だがそれまで一緒に勉強してきたコーちゃんが突如不良になったことで、その関係性がギクシャクしてしまう。「中3の夏は人生で一度っきりしかないんだよ!」と諭す山田に対して、「俺もう、そっちには戻らないからな!」と身もふたもない返事をするコーちゃん。ふたりの関係性に思わずヤキモキしてしまいそうだが、それだけにクライマックス前に登場する卒業式シーンが出色。本作予告編にも使用されていた「負けんじゃねーぞ」という山田のセリフは、コーちゃんのみならず、観客の背中をも力強く押してくれるようで、破壊力抜群だ。

文=壬生智裕

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放送情報

ワルボロ
放送日時:2022年7月8日(金)05:15~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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