「おっさんずラブ」で大ブレイクを果たし、NHK連続テレビ小説「スカーレット」で主演の戸田恵梨香の同級生役として初々しい学ラン服姿で登場した林遣都。これまで主役から脇役までさまざまなキャラクターを演じてきた。
「おっさんずラブ」の田中圭演じる春田をまっすぐ見つめて容赦ないツッコミを入れるドSな後輩、牧凌太とはうってかわって、猫背に黒縁メガネでボソボソしゃべる超冴えない童貞男子を演じたのが2018年2月に公開された映画『チェリーボーイズ』([R15+]/原作は古泉智浩の漫画)だ。本作の国森役では頭の中は女子への妄想がフル回転。『チェリーボーイズ』ではいままで見たことがない林遣都に出会えるかも?
■25才にして童貞。焦りまくりの3人組の友情と哀愁爆発!?
林遣都演じるのは父の病気を機に家業を手伝いに東京から田舎町に戻ってくる国森信一で、あだ名は"クンニ"。地元で市役所で働くイケメンなのにいじめられ体質の"ピーチク"こと吉村達也(柳俊太郎)とパチンコ店に勤務する温厚だがオタク気質全開の"カウパー"こと高杉誠(前野朋哉)の幼馴染と再会。
25才になっても全員まだ童貞なことを確認しあい、その日から脱チェリーボーイを目標に3人の切なくも情けない青春の暴走が始まる。
居酒屋でナンパしようと思っても地元の半グレ男子に邪魔され、部屋に集まってAVを見るぐらいがせいぜいのヘタレな3人は焦るあまり、国森の提案で町でエロいと評判の女子、釈笛子(池田エライザ)をレイプするという計画を企てる。見ていると「そこまで飛躍する?」、「なんで3人で一緒に童貞喪失?」というツッコミを入れたくなるが、目が座るほど必死な国森に引き気味ながら付き合おうとする吉村と高杉。固く結ばれたチェリーボーイズの絆は果たしてどうなっていくのだろうか。
■林遣都が"キモい"と言われるポンコツ男子を見事に演じる
3人のリーダー的存在の林遣都演じる国森の性格は屈折していて見栄っ張り。東京でインディーズのバンドをやっていると2人にうそぶいているが、実際はなにも行動を起こさずにくすぶっているだけだ。AVを見て「この国の処女は全滅してるんだ」と斜に構えてつぶやく一方で、家業でお酒を配達している最中に笛子にビールを売ってほしいと言われ、瓶ビールをその場で飲み干す口元に釘付けになるチェリーボーイらしい純な一面も。
注目したいのはファッションも姿勢も歩き方もふくめて全身から暗くてイケてない男子の空気を醸し出している林の演技だ。特にトレードマークの黒縁メガネをずり下げたときの目は女子に「やば〜い」、「キモい」と言われるのも納得。
「やらなければ俺たちは一生、クズのままだ!」と思い込むあまりキレるシーンもやや遅い思春期の制御不能な心理をみごとに表現している。ポンコツなのにどこか憎めない国森になりきった林遣都のこだわりっぷりに役者魂を感じる本作は必見だ。
文=山本弘子
放送情報
チェリーボーイズ[R15+]
放送日時:2019年11月9日(土)23:00~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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