大ヒットドラマ「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)の出演で注目を集めた林遣都。同作の主人公・春田(田中圭)を上司の黒澤武蔵(吉田鋼太郎)と取り合った、ドS な後輩・牧凌太という役柄は、多くの視聴者を悶絶させ、オンエア終了後には視聴者から「牧を演じてくれてありがとう」と感謝の言葉が飛び出すほどに多くの人に感銘を与えた。その勢いのままに制作された映画版も大ヒットを記録している。
だが、彼の持ち味はそれだけではない。端正なルックスからかもし出される真面目な青年の役柄はもちろんのこと、童貞男、犯罪を繰り返す青年、売れない芸人など、ひと癖もふた癖もあるような役柄を次々と披露。彼がテレビや映画などで見せる役は非常に幅広い。
林は2007年、『おくりびと』の滝田洋二郎監督が、あさのあつこのベストセラー小説を映画化した『バッテリー』の主人公・原田巧役で俳優デビュー。およそ3000人の応募者の中から、オーディションで抜てきされた。滝田監督は当時、「彼の雰囲気が良かった」と彼を主演に抜てきした理由を語っていたが、後の活躍を見るにつけ、その慧眼ぶりには感心せずにはいられない。
だが、同作の原田巧という役は"天才野球少年"という設定であるため、映画出演が決まってからは地獄の特訓の日々が続いたという。彼は滋賀県の出身であるが、当時通っていた学校で過ごす時間以外では、野球の先生が決めたトレーニングメニューを消化し、そして週に1度は野球の先生がいる三重県まで練習に通う。そして土日になると東京に行き、リハーサルを行うという日々をクランクインまで続けた。
その甲斐あって、この俳優デビュー作で、第31回日本アカデミー賞・新人俳優賞や、第81回キネマ旬報ベスト・テン個人賞・日本映画新人男優賞を獲得するなど、高い評価を受けた。
その後も、その身体能力を活かして、『ダイブ!!』『ラブファイト』『風が強く吹いている』など、スポーツを題材とした映画に多数出演してきた。
『ダイブ!!』は、直木賞作家・森絵都のベストセラー小説の映画化作品で、池松壮亮、溝端淳平らとともに、高飛び込みに青春をかけた少年たちの熱い夏を描き出した作品となる。ここで林が演じるのは、天性の柔軟性と動体視力を秘めた平凡な中学生・坂井知季。彼らは、弱小クラブ存続のためにオリンピック出場を目指すことになる。
林をはじめ、出演者たちは飛び込み未経験だったというが、元オリンピック選手の金戸恵太氏をコーチに迎え、約3ヵ月にわたる地獄の猛特訓を敢行。アスリート並みの筋トレを行い、その結果、見事、高さ10メートルからの飛び込みもこなせるようになったという。
近年は演技派として幅広い役柄を披露している林が、キャリア初期に出演してきたスポーツ映画などでは青春のきらめきなどが色濃く感じられて、味わい深い。最近の活躍から彼が気になった方は、これらの作品を観てみても面白いのではないだろうか。
文=壬生智裕
放送情報
バッテリー
放送日時:2020年1月5日(日)20:45~
ダイブ!!
放送日時:2020年1月6日(月)19:00~
チャンネル:衛星劇場
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