田中圭がトラウマに苦しむ青年を熱演！初主演映画「凍える鏡」

ドラマ「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)で主人公の"はるたん"こと春田創一役を演じて人気がブレイクした田中圭。部下の牧凌太(林遣都)の恋心や上司の黒澤武蔵(吉田鋼太郎)の求愛に「えっ？えっ？」と戸惑い、焦りまくる鈍感でピュアなダメ男っぷりに「かわいい！」と萌える女子が続出。その後、『劇場版 おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜』(2019年)が公開され、ドラマの続編「おっさんずラブ-in the sky-」(テレビ朝日系)ではちょっと積極的になった"はるたん"を演じ、田中圭ラブの勢いも加速する一方。

ドラマ「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」(日本テレビ系)に友情出演したり、主演映画『mellow』(メロウ)ではモテモテの花屋の店主を演じたりと、独特のふんわり系ムードで女性たちを癒し続けている。そんな田中圭が初めて主演をつとめた映画が、2008年に公開された『凍える鏡』だ。少年性とあどけなさ全開の田中圭が演じた意外な役柄と、映画の中で見せる繊細な表情とは？

■過去のトラウマに苦しむ画家志望の青年に挑戦

大嶋拓が監督・脚本を手がけた映画『凍える鏡』で田中が演じているのは幼少期に母親に虐待されたトラウマを抱え、絵を描くことで精神のバランスを保っている青年、岡野瞬役。路上で絵を描いていたときに通りがかった年老いた童話作家、香澄(渡辺美佐子)の目に止まり、縁あって香澄は瞬の絵を売り込もうとするが、自分を特別だと思っている瞬は否定されたり、気に入らないことをされると感情をコントロールできず、誰かれかまわずキレてしまう。

心配した香澄は瞬をひとり娘で臨床心理士の由里子(冨樫真)に診せることにし、瞬は"自己愛人格障害"と診断される。落ち着きがなく、上から目線の態度で「だって俺の絵はいいんだから」と言い放ち、女性が縛られている絵に執着する情緒不安定な役柄にドキドキ、ハラハラさせられる。

■共通点は母性本能をくすぐられること？

「うるせえ！」と怒鳴る攻撃的な面を持つ一方で、香澄が苦しんでいるときに一晩中、手を握っていたり、母親から受けた傷を由里子に告白し、涙を流したりと、ピュアで不器用な瞬は放っておけない。薄い氷の上を歩いているような生き方は「おっさんずラブ」の"のんきなはるたん"とは対照的で、トレードマークのくしゃっとした笑顔は見られないが、たまに見せる笑顔がかわいく、目を離すと何をしでかすかわからない雰囲気に、母性本能をくすぐられずにはいられない。

瞬に振り回される親子だが、離れて暮らし壊れかかっていた親子の関係はやがて瞬の存在によって修復されることになる。危なっかしい繊細さで愛に飢えていることに無自覚な青年を表情や仕草で表現している20代前半の田中圭。ベクトルは違っても"癒し系オーラ"をこの頃から感じさせてくれる。

この映画『凍える鏡』は、3月14日(土)にテレ朝チャンネル1の「田中圭特集！ ～ホワイトデーに贈るなつかしの作品SP～」の中で放送される。同日にはドラマ「おっさんずラブ」や映画「相棒シリーズ X DAY」、「びったれ!!!」シリーズも放送されるので、田中圭の奥深い魅力を堪能できそうだ。

文＝山本弘子

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