2020年1月期に放送されたドラマ「恋はつづくよどこまでも」で究極にツンデレなドクターを演じ、"恋つづ"フィーバーを巻き起こした佐藤健。一方で、最新作が今年公開される予定の映画『るろうに剣心』シリーズでは激しいアクションまでパーフェクトにこなしてしまうなど、幅広い表現力も魅力だ。そんな彼の演技の原点と言える作品といえば、「仮面ライダー電王」だろう。
テレ朝チャンネル1にて一挙放送中の「仮面ライダー電王」は、佐藤健にとって初の主演作だ。"イマジン"と呼ばれる時間の改変を企てる敵に対し、佐藤演じる野上良太郎が仮面ライダー電王となり戦いを挑むという物語。斬新だったのは、この良太郎というキャラクターが臆病かつ引っ込み思案で、争いごとが嫌いな性格だったこと。加えて身体能力も低く、自身の能力だけではほとんど戦力にならないという設定だ。
"史上最弱の仮面ライダー"と評されることもあるが、それは良太郎がそのまま電王に変身した素体だった場合の話。味方のイマジンであるモモタロス(声:関俊彦)や、ウラタロス(声:遊佐浩二)、キンタロス(声:てらそままさき)、リュウタロス(声:鈴村健一)らが憑依することで、電王に変身した際の能力も一変し、そのイマジンごとのフォームで戦っていく。
個性豊かなイマジンたちの性格は、憑依後の良太郎の人格にもそのまま反映されているが、演じる役者はもちろん佐藤一人。モモタロス憑依後の"M良太郎"では好戦的で俺様なキャラクター、ウラタロス憑依後の"U良太郎"では自信家でナルシストなキャラクターへとそれぞれ変貌。声に関してはイマジン声優が演じるものの、佐藤は目線や身振り手振りだけで、それぞれの性格を体現した。
ほかにも、豪快で人情派のキンタロスが憑依した"K良太郎"では、口角を上げた朗らかな表情&ドタドタとした歩き方を見せ、無邪気で子どもっぽい性格のリュウタロスが憑依した"R良太郎"では、怒ったり笑ったりと目まぐるしく変わる表情で、その激しい喜怒哀楽を表現した。メインで登場するこれら4体のイマジンの違いを巧みに表現しているが、ストーリーが進むにつれて珍しいイマジンが憑依することもあり、佐藤は素顔の良太郎を含めると実に8種類もの人格を演じ分けてみせた。
ちなみに、R良太郎が作品の随所で披露するブレイクダンスは、佐藤が全パフォーマンスを吹き替えなしでこなしている。また、抜群の運動神経を生かして華麗なアクションにも挑んでいたりと、現在にも通じる全身を使った表現力は、ここで培われているといっても過言ではないだろう。
当時史上最年少の18歳での仮面ライダー主演俳優になった佐藤だが、卓越した演技力と身体表現でこの難しい役を演じきっている。年齢を重ねるにつれ、より成熟した人間味あふれる表情力で、話題の映画やドラマに引っ張りだこな今こそ、彼の原点を見つめ直してみたい。
文=HOMINIS編集部
放送情報
仮面ライダー電王
放送日時:2020年5月7日(木)17:30~
※毎週(月)(火)8:00~、毎週(水)(木)17:30~ ほか
チャンネル:テレ朝チャンネル1 ドラマ・バラエティ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
詳しくはこちら